薬の匂いで目が覚める
少しずつ意識が浮上していくにつれて、
突然聞こえた物音に完全に頭が冴えた。

四番隊にいるそそっかしいのは...花太郎くん、かな


薄く目を開いて見えたのは、
床に薬品をぶちまけていた花太郎くんの姿があった。




「....ん、」


「あっ、咲那さん!起こしちゃってすいません!
ここに運んだのは僕じゃないんですけど、えっと」

「あー、花太郎くん落ち着いて?」



「は、はい。あの...阿散井副隊長の傷を治してくれてたのって、
まりもさんですよね、おかげですぐに傷が回復しましたよ!

またすぐにルキアさんを助けに行っちゃいましたけど...」



「...恋次さん、また行っちゃったのか...」




誰であろうと、怪我なんてしてほしくない。
またあんな風にボロボロになって帰ってくるひとは此処、
四番隊に所属してから何度も見てきた

いつものように怪我をして、治しても戦いに赴けば傷は増えるだけ。



...きっと今も異変が起きてるんだろうな
四番隊のみんなが出払うなんて早々あったものじゃない

だったら、私もこんなとこで寝てる場合じゃない!



「花太郎くん、私自分の仕事しなきゃ...!」

「わああっ!ダメだよ!咲那さんは力の使いすぎで倒れたんだよ?!
まだ動いちゃ...って、待ってぇぇえ!」



ベッドから抜け出して、花太郎の言葉を聞き流して隊舎を出る。

恋次さんの霊圧はある...無事なんだ
旅禍の霊圧も感じられる、他の隊長格の霊圧も。

とにかく、弱まっている霊圧を頼りにして目指すしかない!
一人でも多く助けなきゃ...


先程の力の消費が体に効いて、眩暈にやられていると
後ろの方で私を追いかけていた花太郎くんがつまづいていた。


「何度も転んでたら置いていくよ、時間がないんだから!」

「だ、だから咲那さんは...!って置いて行かないでぇえ!待ってってばー!」

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