消えない、消せない



今夜も体を合わせて啼く、例えそこに愛が無いと分かっていてもやめられない。ひと時の快楽のために会いに行き、次の朝には酷く後悔の念に浸る、そんな日々の繰り返し。悪循環だと分かっている、だけど私は貴方に会いに行ってしまう。

窓から差す光に目が覚める。ああ、またやってしまった、なんて後悔しても後の祭り。隣ですやすや眠る白澤様を見て心臓が苦しくなる。たとえどれだけ私が貴方を思っても、貴方は一人のモノにはならない。
少し寝癖のついた髪を一撫でし、自分の衣服を探す。ああ、あんなに離れたところに。ごそごそと布団を抜け出そうとすると突然手を引かれベッドへと逆戻り。上には白澤様が乗っていて、狸寝入りだったのかと気付いた。


「どこ行くの由凪ちゃん」

「服を取ろうと、ごめんなさい起こしてしまって」


ニコニコと艶のある笑みにくらくらする、こうしてまた深みにハマっていってしまうのだろう。この前鬼灯様に忠告されたばかりだったのに。あまり本気になってはご自分が後悔するだけですよ、でもごめんなさい鬼灯様、私はもう戻れないところまで来てしまったようです。


「…なーに考えてるの、もしかして他の男?」

「まさか、私の中はいつでも白澤様ばかりですよ」

「いつのまにか小悪魔ちゃんになっちゃって…そんな煽り方どこで覚えてきたの?」

「ふふふっ、秘密です」


これが嫉妬で無い事なんて承知してる、だけど少しぐらい妬いてほしいなんてどこかで考えてる。今日の夜にはこのベッドで白澤様は違う女性と寝ると分かっていても。
軽いキスを交わす、白澤様の手がだんだん下へと伸びていく。


「は、白澤様っ!」

「んー?」


駄目だ、きっと全力で抵抗しないとやめない。そして彼は私が抵抗しないのを知っている。
もし、あの時出会わなければ、なんて何度も考えた。出会わなければこんな苦しい思いをしなくて済んだのに。だけどきっとあの時出会わくたって私は彼に惚れたんだろう。きっとこの悪循環を繰り返していたのだろう。
そして今日もまた体を合わせて啼くのだろう、私の片思いのまま、悪循環のなかで。




胸に付いたアトを見て、今日も枕を濡らすのでしょう。


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