「これはまた…こんなに離れてても漂ってくる嫌ーな気配…」
「廃棄物とはまた違う気配ですね」
「こんなに大量の念、感じた事ねぇぞ」
「…滾っど」
「やい戦闘狂」
「士乃の言えた事じゃないでしょう」
「ははは、確かに主の言えた事ではないね」
ぽかり、と髭切の脇腹を殴って、集合場所へと向かう士乃。
「え…ブラウニー…?」
「何故にニョタウニーに…?腹ペコ居るか?」
「(注目されてんなー)」
「次の戦場はここか」
「「妖怪首おいてけだーーーーー!!」」
「!?誰が妖怪か!!」
「何でお豊のあのあだ名知ってんだよ」
「枠の外のオトモダチだからねー」
「??」
と、大騒ぎしていたら、後ろから声をかけられた。
「久しいな、士乃。息災か」
「あ、夢乙女、さん。久し振り」
「夢乙女で構わない」
軍服に白腕章をつけた眉目秀麗な女性…夢乙女に向き直ると、その後ろに控えていた同田貫正国が己の武器に手をかけているのが視界に入った。
「士乃、良かろう?」
「(あ、成程)」
令呪から己の魔術回路へと伝わる、パートナーの歓喜の感情。
大方、お互いに楽しめそうな相手を見つけて喜んでいるのだろう。
「士乃」
「駄目」
「…士乃」
「そんな声出したって駄目なものは駄目。これが終わって、夢乙女に許可が取れたら、ね?」
「…おう」
めっちゃ不貞腐れた顔で信達の所へ行く豊久に苦笑する。
(なでなで、)
「!?!!?」
いきなり頭を撫でられ、士乃の思考が停止した。
え、誰?
「お早う、お市」
「夢ちゃんおはよー」
「(市姫だったのか…)」
声をかけようとすると、後ろから抱き締められる。
「(首!首締まってる!!)」
念話を使って与一へSOSを出すと、苦笑しながら助けてくれる。
「ごめん、与一っちゃん…」
「いえ…」
「仲良しなんだねぇ」
「髭切、お前は何をしている」
草原にある木陰の下で横になろうとしている髭切を睨む士乃。
「昼寝の準備かな」
「なんでさ!!」
「だって、僕が居たって主や源氏のが全部持って行っちゃうじゃないか」
にこにこ笑ってそう言う髭切。
「ん、んー…否定出来ないのが悔しいかな」
「ですね」
「何のお話をしているの?」
「こっちの話だよ」
「なぁ、士乃。悪いんだが、お前の連れを止めてはくれないだろうか」
「へ?あっこら!!お豊!!刀抜かない!!」
乗り込みまで後1時間を切った。
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