企画 | ナノ
おはようございます、こんにちは、こんばんは。
私の名前はガウェイン、前世はかの有名な円卓の騎士であり、今はしがない大学生です。
まぁ、その前前世は皆さんご存知人類最古の英雄王だったわけなのですが。
昔の仲間達や我が王も現世へ転生してはいるのですが…何をどう間違えたのか、ヤンデレ属性などという余計な付属品のオマケ付きでした、まる
変な人ホイホイ体質は健在だった、めっちゃ要らない。





「ガウェイン卿、おはようございます」
「よーっすガウェイン!!」
「ガウェイン卿、いい天気ですね」
「…おはよう、ございます」
「ガウェイン、おはようございます」
「皆、おはようございます」

朝、大学で会ったのは円卓の仲間達と我が王。
円卓時代の癖が抜けないのか、今だに卿付きなのは早々に治したい所だ。

「今日の講義何だったっけな」
「また忘れたのですか、モードレッド」
「うっ、煩いな!!父う…ゲフンゲフン、姉上は黙っててくれよ!!」
「王、モードレッド、喧嘩は…」
「っ…わーってるよ!!」
「トリスタン卿、先日お借りした本です。ありがとうございました」
「ランスロット卿、もう読んだのですか…」
「ガウェイン卿、後で昨日の講義で分からない所を質問したいのですが、よろしいでしょうか?」
「構いませんよ、ベティヴィエール卿」

こうやって、昔のようなしがらみも何もなく、皆でわいわいと出来る事が凄く嬉しくてたまらない。
…ヤンデレ属性は要らないけど。

「あっ、あの、ガウェインさん」
「おや、どうかしましたかレディ」
「昨日はありがとうございました!!」

声をかけてきたレディにぐいっと何かを差し出された。
それは、可愛らしくラッピングされたクッキーだ。

「これはこれは…ありがとうございます、美味しくいただきますね」
「し、失礼します!!」

顔を赤くして去って行くレディ。
いつの時代もレディは可愛らしいものだ…おっと、思考がガウェイン寄りになってしまっているぞ。

「…ガウェイン卿、彼女は?」
「昨日、構内で倒れていた所を医務室まで運んだのです」
「ほぉ…?」
「…」

皆の目が細められ、その奥の瞳がどろりと濁る。
それと同時に、周りの空気がヒンヤリとしてきた。
おっとこれは、皆の殺る気スイッチが入ってしまう。

「それだけですよ」
「…そうですか」
「えぇ、それにあのレディを構うより皆と居る方が楽しいですし」
「…」

痛い痛い痛い痛い痛い、トリスタン卿は掴んでいる私の腕をへし折る気ですか。
モードレッド卿は泣きそうな顔しないでください、そんな顔しても瞳の奥の狂気が隠しきれていません。
ランスロット卿は鞄から何を出そうと…こらこらこら、何故スタンガンなどという物を持っているんですか。
そして、ベティヴィエール卿、貴方はニコニコとしながらもレディへの殺気やら何やらが隠しきれていませんよ。
王は王で、「首輪」やら「足枷」やら「監禁」などという不穏な単語をブツブツと呟かないでいただきたい。
こうなってしまえば、私が何かしない限り皆は止まらない。

「…そう言えば今夜はお好み焼きをしようかと思っているのですが」
「!!」

私の言葉に、どろりとした瞳をした険しい表情からキラキラとした表情へと変わる皆。
危ない危ない、危うくあのレディが消される所でした。

「ガウェイン卿、あの」
「えぇ、王ならば参加して下さると信じていました」
「では、私達は食材を調達してからガウェイン卿の所へお邪魔しましょうか」
「ベティヴィエール卿、助かります」

よし、フラグ回避。

「あぁ、ランスロット卿。姪のマシュさんも誘って大丈夫ですよ」
「!!ありがとうございます…!!」

あの子は本当にいい子だ、唯一の常識人なのだから。


翌日、1人の女生徒が退学したと聞いたけれど、きっとあのレディとは別の人なのだろうな。
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