※本編にまだ出てきていない刀剣男士が出ます。
「主ー!!笹はここでいいのか?」
「はいです、ありがとうございますです和泉守さん」
「おぅ」
和泉守が部屋へと戻った後、ふんふんと鼻唄を歌いながら、色とりどりの紙を用意するロゥツァオ。
「主?何をするんですか?」
「物吉さん」
「でっけぇなぁ!!なぁなぁ、今日は何かあるのか?」
「太鼓鐘さん」
「貞でいいって!!」
「は、はぁ…でも、それですと物吉さんと被ってしまうです」
「あ、そっか」
「今日は七夕ですよ」
「「七夕??」」
きょとんとする2人に微笑みながら、織姫と彦星の話を聞かせる。
「何か悲しい話だなぁ…」
「それで、今日がその年に1度だけ2人が出会える日なのですね?」
「そういう事です。私達は笹の葉に願い事を書いた短冊を吊るすですよ」
はいどうぞ、と短冊を渡すロゥツァオ。
「そうだなぁ…何書く?」
「うーん、なかなか思い付かないですねぇ」
うんうんと唸っていると、ふわりと物吉の肩に何かが乗る。
「へ?」
「おぉ!?何だ何だ、新しいぽけもんか!」
「じ、ジラーチ!?」
「ジラ?」
ぱちくりと大きな目を周りに向けながら、首を傾げるジラーチ。
「主!このぽけもんは?」
「せ、1000年に1度だけ目覚めると言われるポケモンです…七夕の夜までの7日間しか目覚める事が出来ないとも…」
「たったそれだけ!?」
「ジラー…」
太鼓鐘の髪飾りを興味津々に見つめるジラーチ。
「おっ、興味あるか?」
「ジラ!」
「触っていいぜ!」
ほら、と結び目についている髪飾りをジラーチへと向ける太鼓鐘。
恐る恐る羽の髪飾りに触れるジラーチ。
ふわり、とした感触が手に触れ、びっくりした後に満面の笑みを浮かべる。
「ジラー!!」
「気に入ったか?」
「ジラッ!!」
すりすりと羽の髪飾りに擦り寄るジラーチ。
「良かったですね、じらぁち」
「ジラ!」
「…ジラーチには願い事を叶える力がありますです」
「!!そんな力があるのか!!」
「僕と似てますね!!」
「故に、悪い人達から狙われる事もあるです」
「っ…」
「…酷い」
ジラーチをぎゅっと抱き締める物吉。
ジラーチは不思議そうに物吉を見つめた後、嬉しそうに胸に擦り寄る。
「ジラーチの様子からして、今回はそういった事はなかったようですが…」
「次に目が覚めた時に狙われないって言い切れないもんな」
「…」
「…!!だったらさ、ここに居ればいいよ!!」
「はい??」
「そりゃ、主は短命だからずっとはここには居る事は出来ないけどさ、ここなら外よりは比較的安心だろ?ポケモン達も居るし!!」
「次にここに来る人が安全とは限りません」
「うぐっ…いい案だとは思ったんだけどなぁ…」
物吉から案を一刀両断され、困ったように頭を掻く太鼓鐘。
「太鼓鐘さんは優しいですね」
「でも何の解決にもならなかった…」
「大丈夫です、今日の夜ジラーチはまた深い眠りにつきます」
「また1000年眠るのか…」
「だから、眠っている間ここの事を思い出して楽しくなれるよう沢山沢山思い出を作ってあげますですよ」
「「!!」」
「ジラーチ!!歌仙の所行こうぜ!!歌仙の作るご飯は美味いんだ!!」
「その後は粟田口の皆さんと遊びましょう!!鬼事がいいですかね?それとも隠れ鬼?」
ジラーチと仲良く廊下を歩いて行く2人を見送り、短冊を1枚手に取るロゥツァオ。
「…次に目が覚めた時、ジラーチがいい人に出会えますように」
そう書かれ、笹に吊り下げられた短冊の願いが叶うのは…そう遠くない未来なのかもしれない。
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