「着いたぜアローラ!!」
空港から出て、んーっと伸びをする士郎。
「まずはポケモン研究所に行かないと…」
ガタガタガタッ、と文句を言うように腰のボールホルダーに1つだけ付いているボールが揺れる。
「そういう決まりなんだって…文句言うなって」
住人からの情報を頼りにポケモン研究所へと向かう。
「こんにちはー、博士居ますかー」
「ひっ!?あっ…い、いらっしゃいませ…博士は今出掛けてて…」
1人の女の子がおどおどと声をかけてくる。
「あー…タイミングが悪かったか…」
「すぐ帰ってくるとは思いますが…」
「…外で待っててもいいか?」
「あ、いえ…中でどうぞ」
「ん、さんきゅ」
通された部屋にあるソファーに座って待つ事に。
「あの、飲み物どうぞ」
「あっ、お構いなく」
「いえ…」
『別な所の匂いがする!!お兄ちゃん遊んで遊んで!!』
「ん?」
ぐりぐりと足元にじゃれつく犬のポケモン。
「お前元気だなー」
『お兄ちゃん遊んでー』
「へぇ、襟首に石がついてるのか」
「博士のポケモンなんです。名前はイワンコと言います」
「そっかー、お前大事にされてるんだなー」
『ん?だいじにさ、れ…??』
「博士が大好きなんだなって」
『!!うん!!僕、博士大好き!!』
「そっかそっか」
「…」
「ん?どうかしたか?」
「あ、いえ…まるでポケモンの言ってる事が分かっているような物言いだったので…」
「…気のせいだろ?」
ポケモンと会話出来る事をなんとか誤魔化し、博士の帰りを待つ。
「えっと、あっ、あの!!」
「ん!?」
「ひぇっ!!す、すみません!!」
「や、大丈夫だけど…何かあったか?」
「あの…じ、自己紹介を!」
「あぁ…じゃあ俺からな。俺は士郎、イッシュ地方から来た」
「イッシュから…わざわざ、遠いアローラまで…??」
「心機一転ってやつだよ。ここには最初のポケモンを貰いに来たんだけど…それでも俺にとっての最初のポケモンはこいつなんだ」
ボールホルダーからボールを外す。
「まぁ…既にポケモンを?」
「まぁな、ほら出て来い」
宙へ放り投げるとボールが真ん中で開き、1匹のポケモンが現れる。
『まー!!』
「か、可愛い…!!」
「オスのユニランで、名前はアスハルだ」
「アスハル…士郎さんはニックネームを付ける人なんですね」
「あー…この名前は、妹と名付けたんだ」
照れくさそうに笑う士郎。
『まー、あのポケモンと遊んでもいい?』
「イワンコと遊びたいのか?」
「構いませんよ」
『やったー!!』
ふよふよとイワンコの方へと行くアスハル。
「さて…次は君の番だ」
「あ、はい!私、リーリエと言います!博士の助手をしています」
「へぇ、偉いんだな」
「い、いえ…助手と言ってもそんな大したお手伝いも出来ません…お料理もお裁縫も…苦手なんです」
「…じゃあ、俺が教えてやろっか?」
「えっ!!」
がたっ!!と立ち上がるリーリエ。
「俺、こう見えても料理も裁縫も得意なんだぜ?」
「す、凄い…!!でも、よろしいんですか…?」
「博士が戻ってくるまでになっちまうけど…」
「少しでも構いません!是非お願いします!」
こうしてここに「チキチキ☆オカ(ゲフンゲフン)士郎のパーフェクト料理&裁縫教室」が開催されたのである。
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