「士郎!旅立ちの記念に俺からプレゼントだ」
と、ククイ博士から手渡されたのはポケモン図鑑とトレーナーパス。
「ポケモン図鑑…」
「それな、電源入れてみろ?面白いから」
「?はぁ…」
画面をタップし、図鑑の電源を入れる。
すると…
「ロトー!」
「何だ!?」
「僕の名前はロトム図鑑!よロトしく!」
「…博士!?」
「あっはっは!驚いただろう?それはロトム図鑑。ポケモン図鑑の中にロトムが入り込むことで更に使いやすくなった図鑑さ!滅多に手に入らない希少品だからね、大切にしてくれよ?」
「あ、ありがとうございます…」
霊体化したエミヤが物凄く士郎の肩を揺さぶってくる(周りには見えてないが)。
「(何だよアーチャー!!)」
「(す、すご、凄い…!!)」
「(…子供か?)」
最新技術を目の当たりにして、興奮が抑えられないのだろう。
きっと目も輝いているに違いない。
「あぁそうだ、士郎」
「はい?」
「モクローの名前は決まったかい?」
「名前…」
『名前?名前をつけてくれるの!』
腕の中のモクローの目が輝いている。
「うーん…どうしようかなぁ…」
じーっとお互い見つめ合う。
「…うん、よし決まった!シュウスイだ」
「シュウスイ…いい名前だ!由来を聞いても?」
「こいつの羽の緑、きっと秋の紅葉に映えると思うんです。だから、秋に翠(みどり)で秋翠。安直ですがね」
モクロー…シュウスイを見つめる士郎。
「嫌か?」
『シュウスイ…ううん!とても嬉しい!ありがとうマスター!』
「そっか、これからよろしくなシュウスイ」
『うん!』
「中性的でなかなか良い名前ですな」
「オスで使っても違和感を感じないですしね」
「…待って下さい、オスで使っても?」
「ん?気づいてなかったのかい?その子はメスだよ?」
「…マジ!?」
『?うん、僕メス』
「…一人称に騙された…」
あちゃー、と頭を掻く。
「女の子って分かってもらえるように、シュウスイを短くしてスイって呼ぼうか」
『僕はマスターに呼んでもらえるなら何でもいいよ!!』
「…いい子だなぁ」
「(そういった純粋な女性がヤンデレになるんだぞ…いい加減学べマスター…)」
霊体化したまま、やれやれと肩を落とすエミヤ。
「よし!じゃあ仲間を紹介しないとな!」
ボールからアスハルを出す。
『まー?なーにー?』
「アスハル、新しい仲間のモクローのシュウスイだ。仲良くしてやってくれよ」
『よろしくね!』
『よろしくー!』
きゃっきゃっと戯れる2匹。
「もう仲良しか」
「アスハルは人懐っこいですから」
「ま、不仲ってのも考えものだがな…さ!士郎、リリィタウンに向かうんだ」
「リリィタウン…」
「マップは僕にお任せロト!」
液晶部分に地図が映し出される。
「へぇ、目的地設定してくれるのか」
「便利だろ?」
「そうですね…よし、道順覚えた。アスハル、スイ行くぞー!」
『『はーい!!』』
次に目指すはリリィタウン。
TOP