ぽけFate | ナノ
その日の夜、与えられた個室のベッドの上に胡座をかいて何かを考え込む士郎。
ちなみにその日の晩ご飯は大変好評でした。

「…エミヤ、少しいいか」
「…どうした、マスター」

すぅーと霊体化を解いて現れるエミヤ。

「カプ・コケコの事だ」
「あぁ…あのポケモンか」
「イッシュ地方で言うゼクロムやレシラムのポジションなのは分かった。だけど腑に落ちない事がある」
「何がだ?」
「ポケモンなのに言葉が分からなかったんだよ」
「!!動物会話のスキルが効かなかったのか…??」
「初めてポケモンらしい鳴き声を聞いたよ…俺はどのポケモンの鳴き声を聞いても、全て会話に変換されてしまうから」

苦笑する士郎に微妙な顔をするエミヤ。

「別にこのスキルが嫌なわけじゃない。だけど…鳴き声が分からないっていうのは勿体ない気がして」
「貧乏性め」
「お前もだろ…ちょっと話聞いてもらいたかっただけだ、呼び出して悪かったな」
「落ち着いたか」
「あぁ…お前が居てくれて助かったよ」
「くだらない事を言っていないで早く寝ろ。明日は早いんだぞ」
「分かってる、おやすみ」
「おやすみ、マスター」

そして翌日の早朝6時。

「う、ん…ん?いい匂い…?」

匂いで起きたリーリエは寝ていたロフトからキッチンへと向かう。
すると…

「士郎さん?」
「あ…悪い、起こしたか?」
「いえ…何を?」
「朝ご飯作ってるんだ」

見ると、テーブルの上には美味しそうな料理がいくつか並んでいる。

「凄い…」
「後少しで出来るから、顔洗ってから博士起こしてきてくれるか?」
「は、はい!!」

自分も寝起きだった事に気付き、慌てて洗面所へ向かうリーリエ。
ククイ博士も起きてきて、3人と2匹が食卓に揃う。

「士郎は料理が上手いなぁ」
「まぁ…母親は料理が苦手ですし、妹はまだ小さいので料理が出来ません。父親は…ほぼほぼ家に居ませんからね。必然的に俺が家事をするようになりましたから」
「だからってポケモンフーズまで手作りするか?」

そう言って足元を見るククイ博士。
そこには士郎が手作りしたポケモンフーズを美味しそうに食べるイワンコとアスハルの姿が。

「ポケモンにもバランスの良いものを、って思って…独学で」
「凝り性なんだな」
「士郎さん凄いです…」
「あぁ、士郎。お昼頃にハラさんの所に行くぞ」
「分かりました。じゃあその間に白衣の穴全部縫っちゃいますね」
「忙しいねぇ…主夫か?」
「なんでさ」

新しいポケモンと出会うまで後少し。
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