Fateコラボ | ナノ
涙を流しながら、俺を一人にしないと、置いていかないと言ってくれたシオンを見つめる。
俺の為に、泣いてくれているのか…?

「…泣くな」

体を離し、両手で頬を優しく包んで、親指の腹で涙を拭う。

「だって…!」
「泣かれると、その、どうしていいか分からない…お前はどうしたら泣き止む?」

きっと今、俺は困ったような顔をしているんだろう。
こんな風に自分の感情を表に出すのは、何万年振りだろうか。
本当に彼女は優しくて温かい。
彼女となら…きっと、悲しい未来も変えられる、そう思った。

「だ、大丈夫…すぐ…泣き止むから…!」
「しかし…」

ぐすぐすと鼻を鳴らすその様子から、しばらくは泣き止みそうにないと判断した俺は…

「…そうだな、少しばかりキッチンを借りるぞ」
「へ…?」

シオンをソファーに座らせ、キッチンへと向かう。
冷蔵庫の中から少しばかり材料を拝借し、軽食…鮭の出汁茶漬けを作る。

「ほら、食べられるか?」
「あ…ご飯…?」
「材料を少しばかり拝借したぞ」
「大丈夫…美味しそう…!」
「鮭の切り身があったからな、フライパンで焼き目がつくまで焼いて、解したものをネギと共に白飯に混ぜ、粉末状の出汁を湯で溶いて出汁茶漬けにした」
「い、いただきます…」
「簡単な物で悪いな」
「!!美味しい!すっごく!こんなに美味しいの初めて!」
「そうか…」

本当に美味しそうに食べるものだ、これは腕がなりそうだ。

「あ、あの…ギルガメッシュ…」

何か言いたそうにちらちらとこっちを見るシオン、その手の中の茶碗は空っぽ。

「ふ…おかわりか?」
「!も、貰える…?」
「待ってろ」

泣き止んだみたいだし、この先の事についても軽く話し合えたら、と考えつつ俺はおかわりを作り始めるのだった。
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