シオンが熱を出して倒れた。
多分、今までの疲れが出たのだろう。
ベッドに寝かせて、薬や水を準備する。
「お姉ちゃん、大丈夫かな…」
「大丈夫だ、シオンはすぐ良くなる」
「うん…」
「風邪が移るといけないから、今日は雁夜と一緒に寝るがいい」
「…明日、私も一緒に看病していい?」
「勿論だ」
「おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
ソファーに座って、シオンが起きるのを待つ。
─くすくすくすくす
「っ!!」
誰かが誰かを嘲笑う声がした。
影達が指さして笑うのは、見慣れた少女。
「シオン…?」
あぁ、シオンが泣いている、誰のものかも分からない血で塗れている。
傍に行かねば、涙を拭わないと、声をかけないと…
前に進もうとすると、影が絡みついて邪魔をする。
やめろ、止めるな、シオンの傍に…!!
手を伸ばしても届かない…俺の手はまた届かないのか…!!
「シオン!!」
ばっ!!と飛び起きる。
ソファーに座ってるうちにうとうとしていたらしい。
「はっ…はぁっ…夢か…」
首元を伝う汗を拭う。
「…シオンの汗を拭きに行くか」
濡らしたタオルや起きた時用にスポーツドリンクを薄めた飲み物を片手にシオンの部屋に行くと、シオンが魘されていた。
「シオン…シオン!!」
「っ!!」
声をかけると、はっとして起きる。
「起きたか…大丈夫か?」
「ぎ、る…??」
現状が掴めてなかったようだから、飲み物を手渡しながら軽く説明をする。
薬を取りに行く途中で、自分も酷く喉が乾いていた事に気付き、軽く舌打ちする。
「はー…」
さっきの夢は多分、シオン自身の夢なのだろう。
令呪でパスが繋がっている関係で、引っ張られてしまったのだろう。
この様子だと、自分の夢にシオンが引っ張られる可能性があるだろう。
「くそっ…」
駄目だ、あれを見られたらきっと幻滅されるだろう。
「…最悪、寝ないで過ごすか」
シオンが笑って過ごせるようになる為にも、俺自身の事は言わない方がいいのだと思う。
それなら、自己犠牲など惜しくない。
「きっと守ってやるからな」
俺の、私の、大事な相棒。
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