Fateコラボ | ナノ
綺礼の元から間桐雁夜を引き取り、家へと帰る。
ソファーへ寝かせ、その真向かいへと腰掛ける。
シオンと桜は入浴中だ。

「んっ…ここは…」
「起きたか、間桐雁夜」
「!?サーヴァント…!」
「起きるでないわ」

"天の鎖"でソファーへと押さえつける。
少々手荒いが、仕方あるまい。

「くっ…」
「貴様は既に我がマスターの手中。サーヴァントの居ない貴様と俺とでは不利なのはどちらなのか…分かるであろう?」
「っ…何が目的だ」
「それはマスターが直に貴様に語る。そう焦るな」

取り敢えず魔力経路の様子を見る為に近付く。

「ふむ…術式は上々、中身も大人しいか。具合はどうだ」
「…不思議と良い方だよ」

と、風呂から上がった2人がリビングへと入って来る。

「桜ちゃん!!」
「おい、動くなと言っているだろう」

人の話を聞かないなこいつ。
シオンが間桐雁夜に自己紹介し、2人だけで話がしたいと言う。

「(まぁ、何かあれば呼んでくれるだろう)」

シオンの部屋で桜を寝かしつける。

「…お兄さん、シオンお姉ちゃん大丈夫かな…」
「ん?」
「…お姉ちゃん、とても悲しそうな目をしてるの…」
「…大丈夫だ、桜が居ればシオンは笑って元気になるさ」
「ほんと…?」
「あぁ」
「ふふふ…お兄さんも、笑ってくれる…?」
「!!」

呆気にとられた、鳩が豆鉄砲をくらう、とはこういう事なのだろう。
それくらい、本当に不意打ちだった。
一介のサーヴァントである俺の事まで考えていてくれているとは思いもしなかった。

「…あぁ、必ずだ」
「嬉しい…」

そう言って眠りにつく桜。
柄にもなく泣き喚いてしまいたくなった。

「…しかし、そうもいかんな」

泣くのは全てが終わった時だ。
その時、リビングから聞こえた争うような声。

「…穏便に出来ないものかね」

桜を起こさないように、身体を金の粒子に変えて移動する。
リビングに入ると、シオンは間桐雁夜に首を掴まれ絞められていた。

「っ!(落ち着け…ここで俺まで頭に血が上れば収拾がつかん…)」

深呼吸し、間桐雁夜の手からシオンを奪い取る。

「ギル……」
「桜が起きてしまうよ、シオン」
「ご、めん……」
「怒ってるわけじゃない」

頭を撫でればシオンの体から力が抜ける。

「シオン、今日はもう寝ろ」
「でも、」
「疲れてるだろう?な?」
「……うん」

渋々頷くシオン。
それに小さく笑い、良い夢が見られるようにとシオンの額に小さくキスを落とした。
直後に額を抑えたまま目を見開き、顔が赤くなるシオン。

「な……っ!!ギ、ギルのばか!セクハラ反対!!」
「ククッ……昼間のアレはなんだったか?」

とすっとぼけてみせる。
まぁ、ちょっとした意趣返しだ。

「クーのは仕方が無いからいいでしょ!?もういい!おやすみ!」
「おやすみ、シオン」

さて、今度は俺との話し合いだぞ間桐雁夜。
シオンに手をあげたんだ…ただで済むとは思うな??

「さて…間桐雁夜」
「っ…」
「頭に血が上り、幼い少女に手をあげた事に関して何か言いたい事はあるか」
「…大人気なかったと思っている。君のマスターに手を出してしまってすまなかった…」
「全く…」
「…えっと、君のクラスを聞いてもいいかな」
「サーヴァント、アーチャー。真名はギルガメッシュだ」
「ギルガメッシュ…!?あの英雄王だって!?」
「静かに、2人が起きる」
「っ…」
「それで?俺が何だって?」
「…本来なら君は呼ばれる筈のないサーヴァントだ。何故ならば…」
「俺の宝具が問題だからか?」
「っ!」
「俺の宝具…"天地乖離す開闢の星"や"王の財宝"の威力は他のサーヴァントの宝具の比ではないからな」
「知っていたのか…」
「ふん…」

召喚される度に言われ続けてきた事だからな。

「君達の目的を教えて欲しい」
「…この馬鹿げた戦争に終止符を打つ」
「!?本気かい…?」
「生半可の気持ちでこの事を口に出してはいない」
「…そうか」
「その上で貴様に頼みがある」
「?」
「…もし、もしの話だ。俺が消えた時…その時は、貴様にシオンを頼みたい」
「!?」
「こちらもなるべくの伝手やパイプを作っておくつもりだ」
「君はそこまでして彼女を…」
「…まぁな」

唯一、俺が相棒と認めた人だ。
守りたいと思うのは仕方ないだろう。

「さ、今夜はもう遅い」

バビロンから掛け布団を取り出す。

「貴様は俺の部屋を使え」
「…は?」
「ん?聞こえなかったのか?」
「いや…聞いた話ではギルガメッシュは傍若無人だと…」
「…個体差だろ。早く寝ろ」

危ない…墓穴を掘ったかと。
俺はそのままソファーで眠ったのだが、翌朝両脇を夜中にトイレにでも起きてそのままここで寝てしまったらしいシオンと桜に囲まれていた為に困惑する事になったのはまた別の話だ。
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