「し、しんど…」
「あの、大丈夫ですか…?」
ホテルのベッドでうつ伏せになっている灯真。
それを見て、少し眉を下げる夢乙女。
「あの人元気あり過ぎだろ…足が棒のようだわ…動かねぇ…」
その言葉に苦笑するしかない。
「…灯真さん、水を持ってきましょうか?」
「それ」
「はい?」
「その、敬称つけるのと敬語、やめてくれないか?」
「えっと…それは、どういう…」
「っ、だから!!な、仲良くしたい、から、敬語とか外してくれないか…何か、遠慮されてるみたいで…」
寂しい、と完全に俯きながら呟く灯真。
隠れきれていない耳は、紅く染まっていた。
「…」
「無理なら無理でいいんだ…俺の、勝手な我侭だから…」
「…っく」
「!?わ、笑うなよ!!」
夢乙女の口から噛み殺しきれなかった笑いが零れる。
「いやなに、随分と可愛らしい我侭だなと」
「うるせー…」
「しかし、良いのですか?私は貴女より年下ですが」
「そんなん気にしねぇよ、年がいくつ離れてようが皆平等だろ」
にっと笑い、夢乙女の頭を撫で回す灯真。
「なぁなぁ、俺に山野さんや竹谷さんの話聞かせてくれよ」
「あまり面白い話も無いが…では、後で私にもそちらの方々の話を聞かせてもらおう」
「いいぜー、国木田の失敗談とかで良ければ」
「悪い顔だな…」
その日は深夜まで2人で互いの周りの人の他愛のない話や失敗談で盛り上がった。
特に国木田の失敗談については大いに盛り上がったという事だけ記しておく。
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