文ストコラボ | ナノ
「灯真、部屋に来なさい」
「…は?」

ある日の昼下がり。
皆でお茶をしていたら、福沢に呼ばれた灯真。

「え、今?」
「今だ」
「…はーい」

湯のみを置き、のそのそと社長室へと入る。

「で、何の用「これを」…?」

ばさり、と机の上に出された茶封筒。
ちらり、と福沢を見遣ると中を見ろとアイコンタクト。
仕方なく中を見ると、そこには数枚の報告書らしき物と1枚の夫婦の写真。

「依頼?」
「…その写真に写っている夫婦は、お前の実の両親だ」
「…!?」

突然の事に驚き、目を見開く灯真。

「い、まさら…今更何を!?俺を捨てた両親の所に帰れって!?ふざけんな!!!」

報告書と写真を床に投げ捨て、福沢の胸倉を掴む。

「俺の親はあんただけなんだよ!!!そこんところ履き違えんな馬鹿が!!!」
「落ち着け灯真」
「落ち着いてられるかよ!!!こんな最悪な裏切りがあるか!!!」

何事かと、社員達も社長室を覗き始める。

「灯真、話を聞け」
「いいや聞きたくもないね!!!何も話す事なんてない!!!福沢さんなんて大嫌いだ!!!」

足早に社長室から出て行く灯真。

「灯真さん!?」
「し、社長…一体何が…」
「…………」
「あ、不味いねこれ」
「乱歩さん?社長は…」
「灯真ちゃんに大嫌いって言われて落ち込んでる」
「え!?」
「あぁ見えて、灯真ちゃんの事大事にしてるからなぁ」

この事がとんだ事件を起こすなど、まだ誰も分からなかった。
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