文ストコラボ | ナノ
がちゃり、と治療室のドアが開き、与謝野が出てくる。

「灯真ちゃんは!!」
「取り敢えず峠は越したさ。ただ…目覚めるかどうか怪しい所だね」
「そんな…!!」

愕然とする探偵社員達。

「灯真さん…もう目覚めないのですか…?そんなの、そんなのあんまりですわ…!!だって、だって!お料理教えて下さるって約束したんですもの!!」

潤一郎にしがみついて泣きじゃくるナオミ。
と、福沢がおもむろに与謝野に歩み寄る。

「灯真はこの奥か」
「へ?あ、あぁ…奥で寝かせてるけど」
「そうか」

そう言うとさっさと治療室へと入り、灯真の寝ているベッドに近寄る。
そして、手を振り上げ…

「起きろ」
(どすっ!)
「い"っ!?だぁっ!?」
「「!?!!?」」

福沢の手刀が傷口の上側に入り、その痛みで飛び起きる灯真。
だが、飛び起きた際の痛みで再び寝転がる。
その荒業に流石の夢乙女も開いた口が塞がらない。

「起きたか、寝坊助」
「て、手荒いモーニングコールありがとさん…今度は優しく起こしてね…ってか…」

苦笑しながらそう言う灯真とそれを見て少し笑う福沢。

「と、灯真ちゃ…」
「乱歩…」
「っ、灯真ちゃんの馬鹿ぁぁぁぁぁぁ!!!僕に心配させるなんて100年早いんだからね!!!」
「痛い痛い痛い痛い!!!傷口に頭ぐりぐりすんな!!!」

そのやり取りを機に他の皆も駆け寄る。

「灯真さん!!!私っ、私っ!!!」
「ナオミ、泣くなよー。折角の綺麗な顔が台無しだぞ?」
「もう!!灯真さん馬鹿!!茶化さないで下さい!!」
「灯真さん良かったよぉぉぉぉぉぉ!!!」
「あー、こらこら…目元を擦るな、賢治。赤くなるだろ、誰かタオルで拭いてやって」
「ここでも相変わらずのお母さん節ですか…ほら」
「国木田さんありがとうございますぅぅぅぅ…」
「与謝野さん、治療ありがとうございました」
「いいって事さ、後はゆっくり休んで治しな」

探偵社にいつもの和やかな雰囲気が漂い始めた。

「灯真ちゃん、後で何か軽い食事持ってくるから」
「ありがとうございます、昭久さん」
「…灯真ちゃん」
「ん、ごめんな乱歩」
「…今度一緒に寝てくんなきゃやだ」
「はいはい」
「一緒に駄菓子屋に行って、」
「うん」
「この間出来た新しい喫茶店で一緒にお茶するの」
「約束な」
「可愛い格好してこなきゃやだ」
「ん、俺から言ったもんな」
「…あの」
「どうした、高橋夢乙女」
「お2人は恋仲なのですか?」

ここに、探偵社にとって盛大な地雷、爆弾が投下されたのだった。
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