文ストコラボ | ナノ
福沢に呼ばれ、恐る恐る近寄る灯真。

「えーっと…」
「座りなさい」
「あ、はい」

そそくさと福沢の隣に座る。
その隣には昭久が座っている。

「初めまして、かな?俺は山野子狼」
「高橋夢乙女です」
「竹谷八左ヱ門です」
「ご、丁寧にどうも…灯真です、ここで事務員兼戦闘員やってます」
「戦闘員、という事は君も異能力者なのかな?」
「はい」
「灯真ちゃんって呼んでもいい?」
「どうぞお好きに」
「じゃあ、灯真ちゃん。情報提供お願いしてもいいかな?」
「分かりました」

タブレット端末を使い、被害者の遺体の写真、遺留品を順に見せていく。

「写真のように被害者の肢体はバラバラに切断されてました。その切断面はとても綺麗なので、かなり鋭利な刃物で切られたものかと」
「…よく平気でこの写真を撮れましたね」

至極不思議そうに灯真を見つめる夢乙女。

「ははは…慣れ、ですかね。俺、乱歩とは腐れ縁のようなものでして。よく依頼に連れ回されては現場の写真やら何やらの雑用を俺が」
「…成程、止めてすみませんでした。続きを」
「はい分かりました。次に遺留品関係ですが…少し気にかかる事が」
「もしかしてこの鸚鵡のスケジュール帳?」
「山野さんも気になりますか?」
「うーん、まぁパッと目に付いただけなんだけど…どうして気にかかるのか聞いていいかな」
「被害者、こういったスケジュール関係はシステム手帳に書き込むらしいんです。なのに、手元には真新しいスケジュール帳…少し引っかかりません?」
「そのシステム手帳も見せてもらった?」
「はい。システム手帳自体もかなり真新しく、買い換える必要は全くありませんでした」
「ふんふん…ありがと。あ、後一つ」
「はい?」
「君、いくつ?」

ずるっ、とソファーから落ちそうになる灯真。
昭久も少し呆れた顔をしている。

「お師匠様、今はその話をする必要が…?」
「まぁまぁ…で?」
「えーっと…今年で24になります」
「わぉ、ハチと同い年か」
「随分と大人っぽい雰囲気ですね、素敵ですよ」
「へ!?」
「ハチ君、実は狙ってる…?」
「?何をですか?」
「あ、これはいかんぞ」

ひそひそと小声で何かを話している太宰と国木田。
灯真は頬を少し赤くしており、その後ろでは乱歩が不機嫌そうな顔をしていた。

「…ハチ君に灯真ちゃんは渡さないよ」
「あの、これどういう」
「今のはハチが悪いかな」
「…すみません、ハチ殿。フォロー出来ません」
「!?」

何が何だか分からず、終始不思議そうな顔をしていたハチだった。
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