ぽけらぶ | ナノ
「やあやあこれなるは、鎌倉時代の打刀、鳴狐と申します。わたくしはお付のキツネでございます!」
「…よろしく」

鍛刀で出て来たのは肩に喋る狐を乗せた少年だった。
狐が喋っている事に驚き、目を見開くロゥ。

「ふ、腹話術…」
「ではございません!!」
「アイヤー…」
「ふぉこっ…?」
「!!キツネ…」
「おやおや!!これまた綺麗な毛並みのキツネにございまするな!」
「この子、フォッコ言うですよ」
「ふぉこっ!ふぉっ…ぷしゅん!!」

ぼうっ!とフォッコの口から火の粉が飛ぶ。

「ややっ!!火を吐きましたな!?」
「はい、ほのおタイプですから」
「…」

恐る恐る手を伸ばす鳴狐。
それに気付いたフォッコは自らその手に擦り寄る。

「!!」
「きゅう〜」
「…可愛い」
「ふぉぅ!?ふぉこっ!!ふぉっこ!!」
「??」

鳴狐が呟いた言葉に反応し、不満げにてしてしと地面を叩くフォッコ。

「あのー…フォッコ、オスですよ」
「なんと!?」
「…ごめんなさい」
「ふぉこっ!!」

可愛い見た目のキツネは、その見た目を随分気にしていたらしい。

「鳴狐!!」
「…!」

鍛刀部屋から出て、ふらりと歩いていると同じ刀派である一期一振と出会った。

「来ていたのですね!っと…そのキツネも主の?」
「ん…」
「ふぉぅ…」

鳴狐の頭の上でぷくー、と頬を膨らませていじけているフォッコ。
それを見て、どこか微笑ましい気持ちになる一期一振はそっとフォッコの頭を撫でる。

「これはまた…可愛らしい」
「ふぉっ!?」
「…この子、オスだって」
「!!これはこれは…」
「きゅぅぅぅ!!ふぉう!!」

ボウッ!と火の粉を吐き出すフォッコ。

「あっつ!?」
「熱っ…!!」
「いやはや…可愛らしい見た目は時に煩わしいものなのですなぁ」
「ふぉこっ!!」

ぷいっとそっぽを向いたフォッコを2人で平謝りして宥めるのにかなりの時間を要する事になったのは、また別の話である。

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