「僕は小夜左文字。あなたは…誰かに復讐を望むのか…?」
出陣にてドロップされた小夜左文字。
彼は今だにロゥのポケモン達に慣れていなかった。
本人曰く、「動物に好かれない」らしい。
そんなある日の事…
「あ、主…」
「はい?」
「…大きいタマゴ、拾った」
「アイヤー…これ、ポケモンのタマゴです。きっと野生のポケモンのタマゴが紛れ込んだですね」
「これ、えっと…」
「ふふふ、小夜さん。タマゴのお世話、頼んでもいいですか?」
「え…!?」
「常に抱きかかえてあげて下さい」
「ぼ、僕なんかより他の人の方が…」
「小夜さん、お願いしますです」
「…わ、かった…やってみるよ」
その日から、毎日タマゴを抱きかかえる小夜の姿が見られた。
「う、わ…!」
「おぉ!動いた!」
「順調ですね」
「小夜はもうすぐお兄ちゃんだな!」
「!お兄ちゃん…僕が…」
鶴丸の言葉にほんのり頬を赤く染める小夜。
「は、早く…出ておいで…」
タマゴを優しく撫でる、と。
(ぱきっ、)
「「!?」」
「ああああ主!?」
「う、生まれるです…!鶴丸さんは布を!我、お湯を持ってくるです!」
「あ…僕は…!」
「そこで、生まれてくるのを応援してあげて下さい、お兄ちゃん」
「!!う、うん…!!」
ロゥ達がばたばたと本丸を走り回り、必要な道具を揃えて部屋に戻ると…
「え、と…」
「ちょき!」
「お、おお…!」
「と、トゲピーのタマゴでしたか…」
拙い足取りで小夜に近づこうとするトゲピーの姿があった。
「どうしたら…」
「優しく抱き上げて下さい」
「えっ…」
「ほら」
トゲピーを恐る恐る抱き上げる小夜。
「ちょき!!」
きゃっきゃと笑い、短い腕を伸ばして小夜の頬に触れる。
「可愛い…」
「トゲピーは赤ちゃんです。小夜さん、お兄ちゃんとしてお世話よろしくお願いしますです」
「!!う、うん…僕、頑張る…!」
きゅっ、とトゲピーを抱き締めた小夜。
その腕の中でトゲピーが指を振り、曇り空がだんだんと晴れていく。
「おぉ!景気がいいな!」
「“ゆびをふる”…!」
「え?」
「“ゆびをふる”は覚える全ての技のうち、ランダムで1つを出す技なのです。今の技はきっと“にほんばれ”です」
「…凄い」
「ちょっきちょき!」
雲の間から差し込む陽の光は、まるで小夜とトゲピーを祝福しているかのようだった。
Congratulations!
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