ぽけらぶ | ナノ
「よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ」

今回本丸にやって来た短刀である薬研藤四郎はそれはそれは働き者だった。

「薬研さん、それは我がやるです」
「なーに言ってんだ大将。こういうのは俺っち達の仕事なんだ、大将はゆっくり休んでてくれよ」
「薬研さん…働き過ぎでは?薬研さんこそ休んでください」
「大丈夫だって」
「仕方ないです…ルカリオ」
「フシャウ」
「!?なんだいこりゃあ…って、あ、おい!こら担ぐんじゃ…」
「ルカリオ、薬研さんを休ませてあげて下さい」
「た、大将…」
「薬研さん、いくら元は刀だと言っても、今は人間と同じです。体を壊しては元も子もないです」
「…はぁぁ…分かったよ、ゆっくり休んでくる」
「いい子です。ルカリオ、薬研さんに少しずつ“いやしのはどう”をお願いするです」
「フシャ」

縁側に敷布団を敷き、横になる薬研。

「…別についててなくてもいいんだぜ?」
「…‘あの方は許さないだろうがな’」
「!?驚いた…大将の仲間には、喋れる奴が居るのか」
「‘俺は波動を使って語りかける事が出来る。マスターが頑固者ですまない’」
「いや…大将の言う通りだ。今日くらいはゆっくりするとするよ」
「‘そうしてくれ’」

ぽん、と薬研の頭に手を乗せ、“いやしのはどう”を送り込む。

「ん…」
「‘こういう寝顔を見ると、まだ子供なんだな…’」

するり、と薬研の髪を撫でるルカリオ。
そして、その翌日からは、

「こーら、獅子王の旦那!つまみ食いは駄目だって言ってるだろ!」
「げっ!バレた!」
「ルカリオの旦那!」
「フシャウ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」

台所の番人となったルカリオと、豪快に笑う薬研が見られたという。

兄貴とアニキ
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