ぽけらぶ | ナノ
「へし切長谷部、と言います。主命とあらば、何でもこなしますよ」

今回は3本鍛刀した内の1本、へし切長谷部との話をしようと思う。

「主様…」
「…長谷部さん」

捨てられた子犬のようにこちらを見てくる長谷部。
あの日以来、毎度の如く主命を欲しがるようになったへし切長谷部。

「主命なんて…しませんよ?」
「…主様は、私が要らないのですか…?」
「要らないわけではなくてですね…」

困ったように頬を掻くロゥツァオ。
その姿は、まるで主命を果たすことで己を誇示するかのようだ。

「あの…良かったら、我のポケモンと手合わせお願いします」
「主様の…ポケモンと?」
「はい。エルレイド」
「…」

すっ、と音もなく現れたのは緑色と白色を基調とした体躯のポケモン…エルレイド。

「!?」
「エルレイド言うです」
「…へし切長谷部だ」

一礼するエルレイド。

「エルレイド、長谷部さんとバトルです。好きにバトルして下さい」
「…」

困ったように赤い瞳が揺れる。

「エルレイド」
「……」(こくり、)
「…(本当に似ているです、この1人と一匹…)」

主人命なところが。
バトルが始まると長谷部が刀で斬りかかり、エルレイドが念で精製された刀…サイコカッターで受け止め攻撃を仕掛ける。

「なかなかやるな!」
「……!」
「…本当に似ているです」

その後、壮絶なバトルを繰り広げた1人と一匹に妙な友情が芽生え、何かとロゥツァオの世話を焼く姿が見られるそうだ。

「主様!!」
「……!」
「…母さんが2人居るです」

()

(「すげぇ、母親が2人居る」)
(「…ぎゃう」)
(「レントラーもそう思うだろ?」)
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