NARUTO | ナノ
よろよろと帰ってきた我愛羅を見て心底驚くナルト達。

「な、何事!?」
「顔色悪すぎだってばよ!!」
「た、大変な事になった…」

先程の出来事を話すと、3人共苦笑して我愛羅の頭を撫でた。

「我愛羅のお祖父さん、突拍子もない事言うのね…」
「んで?我愛羅はどうすんだってばよ?」
「…恐らくだけど、真澄姉さんと霞姉さんはこの土地を売り飛ばしてトンズラする気なんだと思う。右京と左京にきっとお金は回ってこない…それだけは避けたいんだ」
「って事は…」
「参加、するしかないな…」
「俺らも手伝うってばよ!!な!!」
「そうよ!!4人でやれば出来ない事なんてないわ!!」
「よっ…!?俺も入ってるのか!!当たり前のように!!」
「腹括って、男でしょサスケ君」
「…ちっ」

その頃、真澄は屋敷内を駆け回りながら祖父が言ってた内容に該当しそうな物を探していた。

「じじいもほんっと余計な事を…!!ここの土地はアタシの物なんだから!!」

そんな必死な真澄を影から見つめる人影が。
その人影はその場から離れると、とある部屋へと向かう。

「ふふふふふふ…真澄姉さんも霞も馬鹿ねぇ…私がどれだけこの家に貢献したか知りもしないで…お祖母様は私に甘いもの、きっと教えて下さるわぁ…」

ほくそ笑みながらお茶を飲んでいるのは雪弦だ。
と、その時だった…
後ろから拘束され、口と鼻を布で覆われる。

「んーっ!?」

逃れようと身を捩るも段々とその身体から力が抜けていく。
そして、くたりと動かなくなった。
雪弦を眠らせた人影は、その身体を担ぎ上げてどこかへと消え去っていった。




「我愛羅、その当主のみが持つ事を許される物に心当たりは?」

縁側に並んで座り、どこから探すか考える我愛羅達。

「いや、全く。ここに来たのも数える程しかないから」
「お祖父さん達から何か聞いてたりとかは…」
「どうだろうな…小さい頃に聞かされていたかもしれないが、守鶴との一件でその頃の記憶が虫食いのような状態なんだ」
「そう、なんだ…」

と、次の瞬間4人同時にその場から飛び上がる。
と同時に今まで座っていた場所に苦無が5〜6本突き刺さる。

「…霞姉さん」
「そう…そうよね…アンタさえ死ねば…自ずと土地も屋敷も財産も全部そっくりそのまま…私のモノになるのよね…」

天井裏から降りてきた霞はその手に何本もの苦無を握っており、顔を覆う前髪の間からはギラギラと欲に塗れ充血した目が覗いていた。

「私は戦うつもりはありません」
「アンタには無くても…私にはあるのよ…大人しく死ね…!!」

我愛羅に飛びかかろうとする霞の目の前に躍り出るサスケ。

「…何よ…」
「我愛羅は戦わないと言ったら意地でも戦わない奴だ。大人しく探す事をオススメする」
「アンタには関係ないでしょう…!?」
「目の前で襲われそうになっている友人を助けて何が悪い」
「サスケ…」
「何よ…正義の味方ぶるのも…大概にしなさいよね…!!」

互いに苦無を構えた、その時…


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「!?この声は右京!!」
「行くわよ!!サスケ君も苦無仕舞って!!」
「…ふん」

叫び声の聞こえた方へ行くと中庭の巨大な池の畔に腰を抜かして座り込んでいる右京の姿が。

「右京!どうかしたのか!!」
「お、お姉…あれ…」

と、右京が指を差した先は池の中心部分。
そこに浮かんでいたのは…

「ゆ、雪弦姉さん…!?」

仰向けの状態で、死ぬ間際の苦悶の表情で息絶えている雪弦の死体だった。
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