NARUTO | ナノ
我愛羅とナルト達は木ノ葉隠れの里から少し離れた閉鎖的な山奥にある和風屋敷に来ていた。

「我愛羅のじーちゃん家でっけー!!」
「大きいだけさ、実質祖父母と従兄の3人だけで暮らしているから部屋が有り余ってるんだ」
「手入れも大変でしょ…??」
「そこはほら、分身の術があるだろう?一緒に住んでる従兄は元上忍なんだ」
「元…??」
「…腕をね、少し」

玄関口まで行くと優男風の男性が満面の笑みで出迎える。

「いらっしゃい我愛羅ちゃん、大きくなったね」
「飛鳥兄さん!!お久し振りです!!兄さんも相変わらずお元気そうで」

仲睦まじく談笑している2人を見て面白くなさそうな顔をするサスケ。

「後ろの3人は、お友達かな?」
「はい!紹介しますね、左からうずまきナルト、春野サクラ、うちはサスケ」
「初めまして、我愛羅の従兄の飛鳥です。その額当て…君達は木ノ葉隠れ出身?」

飛鳥の問いかけに首を傾げるナルト達。

「あぁ、兄さんは木ノ葉隠れ出身でしたね」
「ははは、つい懐かしくってね。何も無い所だけど、ゆっくりしていってくれ」

じゃあ、と奥へ引っ込んだ飛鳥をうっとりと見つめるサクラ。

「格好いい…!!王子様みたい!」
「サクラはあぁいうタイプが好みなのかい?」
「年上の余裕って言うの?そういうのが滲み出てて格好いい!!ねぇねぇ、飛鳥さんって彼女とか居るのかな?」
「さぁ?聞いた事はないかなぁ」
「…上がらないのか」
「そうだね、ここで長話してるのも何だし」

靴を脱ぎ、大広間の横の廊下へ向かうとキンキンと高い声とおっとりとした声が聞こえる。

「あーもー、早く用事終わんねぇかなぁー」
「真澄姉さん、不機嫌だねぇ」
「アタシ、とっとと帰って合コン行きたいんだけどぉ」
「あれぇ、我愛羅ちゃん着いてたの?」
「…出たよ、親の七光りぃ」

にんまりとほくそ笑む厚化粧の女性と、ゆったりと微笑む全体的にふんわりとした女性。

「そう言えば我愛羅ちゃん、風影に就任するんだってねぇ。凄いねぇ」
「どーせ親のコネでも使ってんでしょー」
「なっ!!」
「いいんだナルト、気にしないで」
「で、でも…」
「なぁにぃ?お友達ぃ??」

にやにやにたにたにまにま。
そんな効果音が似合うくらいに下卑た笑いを浮かべる女性。

「すいません真澄姉さん、友人を部屋に案内するので私はこれで」
「ちょっとくらいいいじゃない、お話していけばぁ?」
「皆、行こう」
「無視すんなっつーの!!」

真澄から即座に投げつけられた座布団をすいっと何事も無かったかのように避け、部屋へと進む。

「あの女何なんだってばよ!!」
「皆、すまない。あの人はそういう人なんだ、許してくれ」
「我愛羅が謝る事じゃないわよ!!」
「うん、ありがとう。しかし、珍しいな」
「珍しい?」
「1度にいとこ達が集まる事なんて滅多にないんだ。ましてや真澄姉さんが引っ張り出されてるだなんて…」

案内した部屋に荷物を置き、しばらくのんびりする。

「我愛羅お姉?」
「お姉居る?」
「右京に左京か、入っておいで」
「「はーい!!」」

襖が開き、入ってきたのは同じ顔。
おかっぱ頭もまろ眉も、糸目でさえ同じで全く見分けがつかない。

「同じ顔だってばよ!!」
「双子なんだ。右京、左京ご挨拶」
「左京のお兄ちゃんの右京!!」
「右京の弟の左京です。よろしくお願いします」
「ほ、本当に見分けがつかないわね…」
「見分ける方法としては服の色の違いなんだけれど…2人共、また入れ替わってるね?」
「えー!!何で分かったの!?」
「だから言ったじゃないか、お姉にはこれは通じないんだって」
「我愛羅、何で分かったの…」
「ふふふ、内緒。2人共、霞姉さんは?」
「相変わらず部屋に閉じ篭り」
「体に悪いから出ろって言ってるのに聞いてくれないんだ」

やれやれと溜息を吐く双子に苦笑する我愛羅。

「後で挨拶に行こうかな」
「また文句言われてお終いじゃん」
「文句って言うか、独り言?」
「…我愛羅、お前あんまりいとこ達に好かれてないのか」
「ちょ、サスケ君!!」

慌ててサスケの口を塞ぐサクラ。

「気にしなくていい、嫌われてるのは前々から分かっていた。少なくとも真澄姉さんと霞姉さんには、ね」
「俺達はお姉の事大好きだよ!!」
「優しいし、忍術で分からない所があったら分かりやすく教えてくれるし…」
「右京も左京も覚えが早くて教え甲斐があるからね、何でも教えたくなる」

双子の頭を撫でる我愛羅。
その様子に少しだけ嫉妬するサスケ。

「それじゃあ、お祖父様とお祖母様に挨拶に行って…」
「え、お姉何も知らされてないの?」
「でもさ、お姉に連絡したのって真澄姉さんじゃなかった?」
「あー…じゃあ何も伝えてないね」
「?どういう事?」
「あのね、じいちゃんもう長くないんだって」
「だから、今日はじいちゃんのざいさんぶんよ??だったっけ??それについて話す為に僕達を呼んだんだって」

双子からの唐突の情報に、我愛羅はくらりと目眩がした。

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