「あっ…」
「うちは、おはよう」
「っ、はよ…」
翌日、何事も無かったように話しかけてくる我愛羅に少し戸惑うサスケ。
「昨日の事なら気にしないで。あれは事故だったんだから」
優しく微笑んでいつもの席に向かう我愛羅。
その事に少しがっかりし、その事に内心驚くサスケ。
「(何故がっかりした…?)」
「それでも、もし気に病むと言うのなら…」
「っ!?」
ずいっと顔を近付けて来た我愛羅と身体を後ろに逸らして離れるサスケ。
「今日の放課後、少し付き合ってくれないか」
□■□■□■□■□
「(付き合って、なんて言うから何かと思えば…)」
「うちは?」
放課後、我愛羅に頼まれたのは木ノ葉隠れの里の案内だった。
砂隠れの里出身である彼女は木ノ葉隠れの里を詳しく知らない為、一度きちんと回ってみたかったらしい。
「何も無い、次はどこに行きたいんだ」
「甘味処に行きたいんだが…駄目か…?」
服の裾を持たれ、少し照れたようにはにかむ我愛羅。
そのはにかみを見て、胸がきゅっと切なく締め付けられる。
「…別に、駄目とか言ってないだろ」
我愛羅の手を取り、我愛羅が好きそうな甘味処へと歩みを進める。
「…ふむ」
「?どうした」
「こうしてみると…逢瀬をしているみたいだな」
「んぐふ…!!」
唐突に放たれた台詞に思わず噎せるサスケ。
「だ、大丈夫か…?」
「急にあんな事言うから…!!」
真っ赤な顔で歩みを速める。
ぐいぐい引っ張られて軽く走るようについて行く我愛羅。
「う、うちは…速い…!」
「!わ、悪い…」
歩みを緩めて再び隣に並ぶ。
「もうすぐ甘味処に着くからな」
「本当か!!」
楽しみなのか声が弾んでいる。
「…甘い物が好きなのか?」
「似合っていないのは百も承知だ…」
ムスッと唇を尖らせる我愛羅。
頬も少し赤い所を見ると、拗ねてはいるが恥ずかしさもあるようだ。
「それでも好きだから仕方ないだろ…」
「…好きなのは仕方ないな」
ぽんっ、と頭を撫でた所ではっとし、慌てて手を離す。
それにきょとんとする我愛羅。
「あ、いや、これは…」
「…撫でてくれないのか?」
「!?」
「うちはの撫で方は、とても気持ちが良い。ずっと撫でられていたいくらいだ」
「(そう言われては撫でないわけにはいかないだろう…!!)」
再び、恐る恐るではあるが我愛羅の頭を撫でる。
と、嬉しそうにその手に擦り寄る我愛羅。
「(犬かこいつは…)」
そんな様子を盗み見る人影があった事など、今の2人には気付く余地は無かった。
きちんと君に触れられた
[ prev / next ]
TOP