いつだって誰にだって時間とは平等に同じように流れていく。いや、いやよ、やめてちょうだい!!そう神様とやらにお願いしても、聞き入れられることはない。そんなこと知っていた、だっていつもいつもそうだったから!
まだ私はこの暗闇に浸っていたいの。長いと形容されがちな夜だけれどもそれは日が落ちてから十時間ほどしかない短い時間。嗚呼まだ太陽よ昇らないで!!私をこの静寂の中に、留まらせて!

「要するに一夜漬けか」
「そのとおりでございます」

なんて少し文学的に嘆いてみたけれど、所詮学生が願うことなんてそんな大それたものじゃなくて現実的な問題だ。私は破滅的に国語ができない。必死こいて今日の朝日を拝むまで勉強したのは数学だ。それにかけるしかない。

「今日の教科は数学と理科と国語だな」
「国語だなんて知らない」
「それを人は現実逃避というんだが」
「逃避は悪くない!!悪いのは私の頭!」
「よくわかっているじゃないか」

あぁもう、いらいらする!!目の前にいるこの柳蓮二はたいそう頭がよろしくて(でも数学なら勝てる!!)きっと今回のテストもそれはそれはよい点数をお取りになりやがるのでしょう!
……なんか悔しいから柳に恋愛感情があると絶対言ってやらない。
でも追試があるのは数学と英語の単語だけ。それさえ頑張れば追試はないわ!!

「一夜漬けも数学しかしていないだろう」
「おうそうですとも。だって意味わからない、人によって感じ方は違うはずなのにどうして他人の……しかも小説の人の気持ちを代弁しなきゃならないの!?」

理解不能!
そう言えば柳は私の頭をぽんぽんとなでて、いつもの落ち着いた声で私をなだめる。

「……わからないのなら、次の学年末は教えてやろう」

思わずその声に反応してしまって、柳にクスリと笑われた。恥ずかしい、けれど嬉しい。柳、柳、大好き!
期末テストなんて知るものか!


嗚呼少女よ、嘆くことなかれ!
(お前の欠点は頭がいいのに抜けているところだ)



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