呪 side









まるで一般的な学校とかわりない。歳は様々だが、子供たちが駆け回る姿に感心する。

「子供ばっかりだね」
「………拾うなよ」
「椋は俺のこと何だと思ってるの?子供は好きだけどさ。むしろ椋の方が懐かれて、凄い子連れてきそう」
「マジで勘弁して」

心底嫌そうな椋の声に、櫟は声を上げて笑った。椋は好きでもないのに子供に好かれるタイプだ。櫟は子供が好きなので羨ましい限りだ。
 
「沢山いていいね。ちょっとだけ羨ましい」
「賑やかで?生きていられて?」
「どっちもかな」

此処、ボーダーという施設には椋も櫟も初めてきた。正直外部の事に気を回すほど二人は暇ではないためボーダーという組織も新聞やテレビの報道で知るぐらいの知識しかなかった。今後も関わり合いがないはずだった。なのに、なんやかんや上層部のアレコレがあり、今回の任務を押し付けられた。
嫌がる椋を引っ張って、いざ来てみれば前情報通り子供が多く、若手から失う呪術界に身を置く櫟にとっては羨ましい限りの光景だった。前線に立たせざるをおえない子供たちを守るために緊急脱出の方法があるらしい。マジで羨ましい。呪術界でも採用してほしい。

「これだけ若いのがいれば俺等の引退もサクッといくのに」
「俺はサクッといくけど椋は無理でしょ。五条だし」
「そっちだって加茂だろ」

お互いにさっさと引退したいのだが中々うまくいかない悲しき立場だ。
ボーダーへは親交を深めるために来たわけではないため長居は無用と去ろうとしたところ、階下に先程出会った子供が、誰かに首根っこ掴まれて連れて行かれていた。それを見て、思い出す。

「さっきの楢みたいな子の隣りにいた人」
「酷かったな」

どうやら他人に興味のない椋も珍しく覚えていたらしい。まぁ呪術師ならば一度見たら忘れられないだろう。

「よく連れて逝かれてなかったね」
「どうしたらあんなに呪われるんだか」
「噂のサイドエフェクトに関することかな?」
「多分。此処は俺等とは違う。人間を殺すようなことは滅多に無い」

取り憑こうとする呪いが凄かった。ホイホイだった。あれはきっと苦労の多い人生だっただろうなと一瞬で感じるほどに呪いに好かれていた。人でも殺したのか?と思ったが、どう見ても人畜無害、お人好しそうだったので、噂のサイドエフェクトというやつだろう。どんな能力を持っているのか分からないが、相当やっかいな力を持っているようだった。

「サイドエフェクトってもしや術式だったり?」
「なら悟に視せ……いや、やめよう。なんだか面倒臭くなる気配を察知した」
「出た、椋の面倒臭い事を察知するサイドエフェクト」
「クソダセェ」
「口が悪い」

軽口を叩きながらボーダーの施設を後にする。生存率の良いボーダーを羨ましいと思ったところでそれは隣の庭の芝生だ。眺めているだけで櫟はお腹いっぱいだった。



「噂をすれば影。悟が終わったかって」
「俺はひとりで帰るので悟のことはお前に任せたお疲れさよなら」
「こらこらこら」



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