当真のクラスメイト2


前回と同主人公
単行本未登場キャラの名前がでます









夏の暑さに怯んだ俺は教室で飯を食っていた。
屋上での昼食は、夏の日差しの前では自殺行為すぎる。
移動も面倒で自席でパンを取り出すとどこからともなくとーまがあらわれた。
ちなみに同じクラスのぽかりはボーダーの任務で欠席した時のプリントをとりにいったので不在だ。バックレないなんて真面目だなぁ。俺なんてボーダー入ってなくても出席日数ギリギリだ。別に焦りも感じていない。
そして村上とカゲはボーダーの任務でこちらも不在。
そう言うわけでとーまと二人で昼食をとっていた
家にあったから持ってきただけで好きでも嫌いでもないよもぎパンをむしって食べていると、スマホがぶぶっと振動した。
通知に目を通してとーまに声をかける。

「とーま、、荒船先生が今日、あ、食うなよ」
「一口貰った」
「事後報告許すまじ」

とーまが勝手に俺のよもぎパンに齧り付いていた。
好きでも嫌いでもないが盗られたらむかつく。
俺がむすっとするととーまはけらけら笑った。
責めたところでとーまはきっと意に介さないので、早々に諦める。

「荒船先生が今日映画見ないかってさ」
「お、いいねぇ」

とーまが桃と茄子と唐辛子のパイという謎の商品の袋を開けている。
食べたことはないが、俺だったら絶対に選ばない。どう考えてもまずそうにしか思えない。よく販売しようと思ったなと感心する。
もし食べるとするならば、桃と茄子は別に食べるとして唐辛子は避けるし。
とーまはそういう、いかにも大衆に受けない商品を買ってきては食して、やっぱりまずかったと喜ぶ趣味がある。俺には到底理解できない。

「任務は?」
「今日は太刀川隊。鋼も午前任務だから夕方からならいけんじゃねーか?」
「カゲは無理だろうね」
「そりゃそーだ」
「ぽかりは荒船先生が行くなら行くよね」
「そうだな」

カゲは任務が終わっていたとしても人の多い映画館は嫌がる。煩わしいらしい。
退け者みたいで可哀想だが、嫌なら我慢しろと荒船先生なら一蹴するだろう。荒船先生は最新作が見たいらしいし。
俺はスマホを操作して返信をする。

「とーまも行けるって、村上も、誘おうよ」
「あ、これうまい」
「え、まじで?一口ちょーだい」

謎のパイを食べていたとーまの声に顔を上げる。
食べなくても自分の口には合わないと分かっているけれど、おいしいと言われると味が気になってしまう。
とーまは俺の口にパンを向けた。

「しとど、あーん」
「ん」

それに齧り付いて咀嚼する。
口の中に広がる桃の甘さと、茄子の触感と、唐辛子の辛さ。
やっぱりまずいじゃねーか。
パッケージに書いてある個性豊かなハーモニーって言葉は今すぐ修正しろ。考えた奴はハーモニーの意味をぐぐれ。これはハーモニーとは言わない。
俺が顔を顰めると、とーまはくくっと喉の奥で笑った。
こいつまずいって思ったけど俺に食わせるために美味いって言ったな。捻くれ野郎め。

とーまの相手をするのが面倒になった俺はよもぎパンをとーまに投げつけて机に突っ伏した。
寝んの?というとーまの声を無視して俺は首に下げていたヘッドフォンを耳につけて音楽を流す。
お休み3秒の俺はあっという間に意識を手放した。




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