小説 | ナノ

コーヒー主義的政治宣伝(プロパガンダ)


万国は紅茶党による一党独裁の国である。
だが先月、ダイフクとプリンがチョコレートコーヒーの出来をママに褒められた。陰謀だと告発したかったがママの不利益ではないので何も言えなかった。先週、コーヒーと合うスイーツを紹介する写真集をうっとりと眺める国民を見かけた。昨日、ハクリキタウンに新しいコーヒーショップが開店した。数秒前まで、ザッハトルテとエスプレッソの結婚式に参列していた。良い夢だった。クソが。
そして今。満面の笑みのコーヒー狂が、銀盆片手におれの頬をなぞっている。

「お前の遊びにプリンを巻き込むんじゃねェ」
「これは闘争ですよ」

外堀は既に埋められた。陥落し、妻のプロパガンダに協力する自分の姿くらい、心乱された状態でも見ることができる。

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