01

 



予定通りに各々が戦場を駆け抜ける。なんとか広場まで来たとき、諜報部の人からの連絡が入る。朱雀を包んでいるジャマーの一部が飛空艇発着所にある白虎旗艦の中にあるという。私たち四人はそこへ向かい、ジャマー発生源に魔晶石をセットし、ジャマーを破壊した。



『エース、こっち!!』
「ああ!」



旗艦から脱出した後、闘技場にジャマーを搭載した新型魔導アーマーがあると報告を受ける。同時に特殊軍神の使用許可が下りた。特殊軍神とは死ななくても呼べるという召喚のこと。普段は命と引き換えではないと軍神を呼ぶことができないのだ。



『さ、行くわよ!』
「りょうかーい!」
「遅れるなよ」
「誰に言ってる」



目的地近くで合流したジャックとセブン、そしてエースと共に闘技場の上から中を見下ろす。そこには皇国兵と魔導アーマー、候補生二人、さらには──



『な、一般人!?なんで、ここに…!』



皇国兵たちの前には地面にへたり込んでいる黒髪の少女。どうしてだろう。なぜか彼女から目が話せない。誰かに、似てるような、そんな気がする。違和感というやつか。



「やばいねー、このままじゃ殺されるんじゃないー?」
「行こう、みんな」



エースの言葉にみんなは頷く。一般人に銃が向けられたのを合図に、私とエースが兵たちに向けてファイアを放つ。そして四人でその場から飛び下りた。



『こっちへ!』
『わ…っ!?』



ジャックとセブンはそのまま地面に着地して何もない空間から武器を出し、近くの敵を一掃する。私は一般人を脇に抱え、巻き込まれないように後ろへ下がった。その時、私は彼女の顔見ないまま、避難して、とだけ告げて前線へと繰り出した。だから気付かなかったのだ。



『はっ!!』



キンッ、と開いた鉄扇で銃を弾き、エースたちの元へと移動する。こちらに向かって砲弾が勢い良く飛んで来たが、エースの魔法、ウォールのおかげでそれは無効化された。そのまま集まった四人で特殊軍神の召喚を試みる。刹那、眩い光が闘技場を包み、オーディンが召喚された。



「あたしのジャマー圏内で召喚したのか?!なぜだ!?」



あの魔導アーマーから声が聞こえる。あの中にいるのが白虎のルシであろう。



『行けっ!!』



私たちが合図を出せば、あっという間。オーディンは一撃であのジャマーを倒したのだ。その反動か、軍神は消えてしまった。任務完了、そう思ったのだが、不意に壊れたアーマーに緑の電撃が奔り、再び動き出す。どうやらルシの力らしい。私たちは咄嗟に武器を構えた。



『切り刻め、風よ!鎌鼬!!!』



大きく振ったふたふりの鉄扇から、ヒュン、ヒュン、と風の刃が不規則に飛び交う。それはアーマーの足を切り落とし、音を立てて地面に突っ伏す。そのまま突っ込もうと地面を蹴るが、不意に発射された砲撃で私たちはダメージを受ける。



『くっ!』
「ジョーカー!」



ザザザッ、と地面を削るがすぐに体制を立て直し、一つの鉄扇をアーマーに投げつける。だがそれは簡単に弾き飛ばされ、地面に刺さった。しかしそれも計算のうち。




『エース!セブン!ジャック!』



私たちはバラバラに散らばり、微量ながらも攻撃を続ける。そして一瞬の隙が出来たのを見逃さず三人が一斉にアーマーをブリザドで凍らせた後、刺さった鉄扇を足場にして私は空高く飛び上がった。



「何!?」
『はぁあああああッ!!!』



そのまま頭上から鉄扇を振り下ろし、アーマーに突き刺した。やがて、バチバチバチ、大きな音を立ててそれは爆ぜた。ギリギリその場から引いた私は、よろっとしながらもその場に留まる。



「危ないところ、だった」
『掃討、完了!』



シュン、と武器を仕舞ったと同時に、アーマーは再び爆発し、激しく炎上する。その中から一筋の光が空の彼方へ飛んでいったのが見えた。どうやらルシは逃げ出したみたいだ。



『ふぅ』



一つ息を吐いて、私たちはついさっきまでアーマーであったものに背を向け、候補生たちを振り向く。するとそこにいたすべての人の目が見開かれた。勿論私もだ。全員の目は私と、そして一般人の少女に交互に向けられていた。



『『嘘…』』



私と彼女の声が、ピッタリと重なった。顔、身長、体系。見る限りは私と同じ。この辺りでは見たこともない服装を着た少女の真っ黒な瞳と私のオッドアイが交わった。ああ、これが私が感じていた違和感か。






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