01

 



『はぁん!!クラサメ隊長こっち向いてぇ!!!』
「……ゼロ、授業中だ」



やん、こっち向いてくれたぁ!と体をくねらせればクラサメ隊長の溜息が聞こえた。相変わらず0組のみんなはあたしを生暖かい目で見守ってくれてる。それでもゼロは自分の想いに真っ直ぐに突き進む!!!



「ほんと飽きないよね、ゼロ。相手にされてないってば」



授業終了後、ケイトが溜息を吐きながらあたしに話しかけてくる。あたしは首を傾げてにっこり笑う。



『えー?そんなことないよぅ!!隊長も絶対ゼロのことが好きだって〜!』
「長年あんたと一緒にいるけどなんでいきなりそうなった」



ケイトが言うには、ゼロはもっと真面目でキリッとしていたとのこと。やだなぁゼロはいつもキリッとしてるじゃん!と自信満々気に言えば頭をぶっ叩かれた。



「ってかゼロはあの隊長のどこが良いのよ。すかしててムカつくじゃん」
『そのクールなとこがたまらんのよ!!あたしはそんな隊長のデレた姿を見るのが目標でありますっ!!』
「あんたじゃ一生無理ね」



バッサリと言い捨てられた。何て言うかケイトって単刀直入すぎるよね!グサリとくるよ色々と。だがそれで諦めるゼロだと思うなよ!



『クラサメ隊長はけーん!!』
「あっこらちょっと!ゼロ!!」



クラサメ隊長を目にしたゼロはケイトの制止の言葉も耳にしないで一目散に彼の元へとたどり着く。



『隊長今日も素敵です!!カッコイイです、付き合って下さい!』
「却下だ。授業始めるぞ。席につけ、ゼロ」
『何言ってんですか!ゼロの席はいつもクラサメ隊長のと・な・り…ぎゃぁあああ!!すみませんすみません剣しまってぇえええ!!』



調子に乗りすぎました。ゼロ反省――なんてしません。寧ろ間近でクラサメ隊長の顔を見れたから満足してます。早く戻れと促す彼に唇を尖らせ、大人しく席に着く。勿論席はクラサメ隊長の真ん前で、視線はそのまま隊長に釘付け。



「ではまず――」



一度ゼロを一瞥してからクラサメ隊長は話し出す。今日は魔法の授業だ。ブリザドの魔法系はーとか話してたけどゼロにとって授業中はクラサメ隊長の観察モードに入る時間。今日も隊長の群青色の髪が綺麗。そのキリリとした切れ長の瞳も素敵すぐる。見たことがないマスクの下の口はどう動いてるのだろう。ああ、細くてしなやかな指!腰!!やばい、クラサメ隊長マジカッコイイ。



「…ゼロ」
『はーい!何でしょうかっ』
「涎を拭け涎を」



おっと。クラサメ隊長に指摘され、少しばかり恥ずかしげに制服の袖口で口元を拭う。やっば、またやっちった。クイーンに怒られちゃうなぁ。まあいっか。



「ほんと飽きないよな、ゼロ」



放課後、リフレでみんなと駄弁ってると、突然エースがそう呟いた。



『ちょ、エースまで言うか!!今日はケイトにも言われたぞ!?そんなにゼロは変ですかっ!?』
「ああ」



うん、どうやらうちの家族はみんな似た者同士らしい。エースの言葉にみんなが頷いている。



『ゼロ、変じゃないよっ』
「だって誰がどう見たってあしらわれてるのが見え見えじゃないか」
『そんなことないってば!!クラサメ隊長だってゼロを見てくれてるって!』



ぐるりとみんなを見回すが、ただ苦笑いをするばかり。そんな中、クイーンがメガネを押し上げ、ゼロを見やる。



「ゼロ。正直に言わせて頂きますが、クラサメ隊長とゼロでは立場が違います。そもそもあなたとじゃ年だって離れて――」
『んもう!!恋愛に年なんてカンケーないんだよ、クイーン!!好きって気持ちさえあればそれでいいんだよぅ!』



バンッ、と机に手を叩き付けて抗議する。昔からエースもクイーンも堅物なんだから。恋愛は自由。どっかの誰かもそう言ってたし。



「でもさ〜ゼロの熱烈なラブアタックにも無視を決め込んで〜」
『うっ』
「テストの度に書く隊長へのラブレターは塗り潰されて〜」
『シ、シンク…』
「おまけにこの間は投げ飛ばされてたし〜?」



お、おふ…天然て怖いです隊長。めっちゃグサグサ来てます先生。悪気のないシンクを怒ることが出来ないあたしは後ろの壁に頭をぶつけていた。



「シンクはストレート過ぎる」
「ん〜?何が〜?」
「自覚がないのもまたな…」



フォローしてくれようとキングとエイトが口を開くが、もういいよ、とあたしは椅子に座り直した。



『兎に角!ゼロは死ぬまでにクラサメ隊長を落とす!!』
「それでもゼロには無理だな」
『おいこらエースその綺麗な顔面に落書きしてやろうか』
「やれるものなら」
『すみませんごめんなさいゼロに綺麗な顔に悪戯するなんてそんな勇気はありません』



くっそ、家族だからあたしが出来ないことを熟知してやがる。ここまで言われて引き下がれるわけのないあたしは、ぐっ、と拳を前に突き出した。







(よし、やるぞー!)
(諦めろよ、ゼロ)
(キィイイ!!エースの意地悪!)
(はいはい)


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