let you!

 



「ゼロ…」
「あら、ゼロちゃん」
『! エミナさんとクラサメ隊長!』



何気なくテラスに来ればエミナさんとその隣にクラサメ隊長がいた。おぶぶ、別に嫉妬なんてしてないんだからっエミナさんはゼロとクラサメ隊長を応援してくれてる一人だし。でも付き合いは長いみたいだから少なからず羨ましいとは思ってる。



「私はお邪魔かしら?」
『いえいえ!そんなことは…』
「ふふ、いいのよ。それじゃあね、ゼロちゃん、クラサメ君」



もうエミナさんマジ優しい。丁度テラスには他の誰もいなくて隊長と二人っきり。うへへ、とにやけていれば隊長に頭をぶっ叩かれた。



『痛いですよぅ』
「その顔はやめろ」



相変わらず眉間に皺を寄せてるクラサメ隊長。そんな表情もやっぱり大好きで大好きで仕方ない。



『隊長、隊長っ!ちゅーしましょ!』
「……」
『やんっ、照れないでくださいってば〜!』
「照れていない」
『えー!ゼロが嫌いなんですかー!?』



あまりにも受け答えが素っ気なさすぎるので、むぅ、と頬を膨らませて言えば、隊長は目を反らす。



「……いや」
『…嫌いですか…?』
「っ……好きだ…」



少し赤くなっている隊長を見て嬉しくなった。あはん、隊長マジ大好き。ぎゅう、と抱き締めれば隊長は少し間を開けてからゼロの腰に手を回してくる。



『えへへっ!ゼロも好きですよ〜』
「……毎日聞いている」
『だって言葉じゃ足りないくらい好きですから、毎日言わないと精神的に死んじゃいますっ』



自慢気に言えば隊長の深い溜め息が聞こえた。



「…ほんとに君は――」




最後の言葉が聞き取れなくて、クラサメ隊長を見上げれば間を入れずにキスをされた。一瞬のフレンチキス。急に恥ずかしくなってゼロは目を泳がせる。取り敢えずいつマスク外したんですか。



『ったいちょ…まだ勤務中ですよ…』
「残念だったな。30秒前に定時は過ぎている」



残念というかもう寧ろ幸せすぎてどうしよう。隊長ってば堅物だしこう言うとこでキスなんてしてくれないと思ってた。眉間に皺を寄せてクラサメ隊長を見てれば、仕返しだ、と笑われた。ちょっとムカついたので背伸びして隊長に口付けた。



『愛してます、隊長』
「……」



そう言ってへらりと笑えば強く抱き締められる。どうしたんですか、と聞くと何かを小さく呟く隊長。だけど小さくて上手く聞き取れなかったゼロはもう一度聞き返す。



『たーいちょー?』
「………可愛い」
『!! か、かわ…!?』



隊長に可愛いと言われたのは始めてだ。ってか隊長からそんな言葉を聞けるなんて幸せです…!!



『うへへー隊長もいっかい!』
「二度は言わない…」
『えー!いいじゃないですかっ!めっちゃ嬉しかったんですから!言えないなんて隊長ってばやっぱり照れ屋――』



抱き締められたまま、隊長の背中をパシパシ叩いて主張すると、隊長はゼロの目を合わしていきなり顔を近づけてきた。



『!? たいっ、ちょ!?』



がしっと後頭部を固定されて動けない。



「……可愛い、ゼロ」
『!! ――んっ』



そのまま口を塞がれたため、声を出すことが出来ず、さらにするりと舌が滑り込んでくる。頭が混乱する中、絡められる舌に必死に応えるゼロ。



『っは、んぅ…っん…』



軈て息が苦しくなって、隊長の胸を軽く叩けば名残惜しく銀色の糸が引いて、唇が離れた。息を整えるため大きく肩で息をする。



「真っ赤だな、ゼロ」
『たいちょーのばかー…』
「君が悪い」



まあ確かにからかったのはゼロだけどさ…いきなりあんなキスされるなんて思ってなかったし隊長ってば案外大胆すぎる。ってか不適に笑う隊長もカッコイイなあもう素敵すぎる。いつも眉間に皺寄せてるけど笑ってる方がもっとカッコイイのに。あっでもカッコよすぎると他の女のコたちが隊長に…――



「帰るぞ」
『えっちょ、待ってくださーい!!』



ぬぬぬ、と悩んでるといつの間にか隊長が魔方陣の方へと向かっていっていた。慌てて背中を追って、隊長腕へしがみつくゼロ。



『たーいちょっ!今日はお泊まりオーケーですかっ!?』
「一々確認しなくても好きにすればいい」
『! 隊長マジ男前です!!大好きっ!!』



そう言えばクラサメ隊長は優しく笑って頭を撫てくれた。






(べりたーん!!)
(…♪)
(やん!今日も可愛いよぅ〜!もうスリスリしていい!?)
(…)
(べりたん…頷く仕草萌える…)
(ゼロ、涎を拭け)
(おっと危ない…)


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