朝起きてご飯を食べていたら。
お母さんに「来週から学校に通い始めるのよ」と言われて。


「………えっ」


最初に口から飛び出たのは短い母音。まあなんとなく分かってたけれど。こっちに帰っても学校行くんだろうな、程度に。
まさか来週からとは知らなかった。


「町にも学校にももう届けは出してるし」
「でも、教科書とかどうするの?」


ふと口にした疑問にも、お母さんは軽く笑顔で。
目玉焼きを1口で食べようとしてむせた。


「何やってるの…もう届いてるわ、あと制服もね」

「ごほっ。えっ、サイズ分かったの?」


奥からビニールに包まれた教科書一式と制服を持って来たお母さんに、首をかしげると、お母さんはふふっ、と笑った。


「大きい分には構わないかな、って」

「…………え、」

「たぶん入るわ」
「えぇ……」
「まあ、大丈夫よ」


試しに1回着てみて、と差し出されたビニールを受け取って、朝食を平らげた。

自分の部屋に戻って制服に着替えたら、ちょっとぶかぶかだったけれども入った。


「どう?」
「ちょっと大きいかも」


部屋に勝手に入って来たことも気にせずに、その場で軽く回って見せたら、お母さんはふぅん、と息を吐いた。


「まあ、折れば大丈夫そうね」
「うん、結構いけるいける」


でもスカートがちょっと緩いなあ、そう呟けば、折れば丁度良いんじゃない、と返ってきた。折ると少しきつくなるらしい。


「並盛中って…」


ふと、親方様の顔が頭によぎる。


「沢田綱吉さんのいる、学校…だよね」
「ええ。仲良くしなさいね、同い年みたいだし」
「ファミリーも何人かいたよね」
「獄寺隼人、山本武、雲雀恭弥、笹川了平、が守護者ファミリーね」

「多いなあ…」


ボンゴレは並盛が好きなのかしら。そんなことを呟いてみたけれど、もしなんか否定出来なさそうで怖かった。


「ああ、あと、その雲雀恭弥って人…」
「……雲の守護者、だよね」

「校則を破ったり、彼の気に障るようなことをしたら噛み殺されるらしいから、気を付けて」


母親の言葉に、えぇ、と小さく声を漏らす。
いや、噛み殺すってなに。思わず黒髪の男の人が相手に噛み付いているところを想像して、首を捻る。いやそんなまさか。ファミリーの守護者の資料には、そんな牙があるなんて書いて無かったはずだ。写真にもそんな牙生えて無かった…と、思う。
ううん?自分の記憶力にちょっと自信が持てなくなってしまったが、まあ、10代目ファミリーは個性的な人がいるみたいだ。うん、楽しみ。

1週間後、この制服を着て学校へ通う自分を想像して、少し頬が緩んだ。



(130630)
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