お昼休み後の授業中、先生の話を聞き流しながら、小さく、欠伸を一つ。


(暇だ)


もうすぐ授業終わるかな、と思って時計を見たら、何と授業開始から十分しか経っていない。

(マジかよ…)

別に授業が嫌いな訳じゃないけれど、お昼前と後はどうしても気怠いのだ。

教室の一番後ろの席の私よりも前に座っているツナなんて、もう夢の世界に意識が飛んでしまっているし、山本は…何してるんだろう、消しカス先生に向けて飛ばしてる。獄寺といえば、今ツナの居眠りがバレて叱っている先生を凄い形相で睨んでる。

「まったく沢田、お前という奴はいつもいつも注意されて…」

SHITT・P!は瞑想だか何だかでいないし、炎真は…うっわ、あいつも寝てるよ。

不意に、窓にコツン、と何かが当たる音がした。何だろうと思いそっちを見てみると、イルカがいた。青い炎に包まれた…イルカ。見た事ある。
雨イルカじゃねーか!

主!主はどこだ!
ツナが怒られている真っ只中、この雨イルカの主を探す。
(まったく…今回は許してやるが、次居眠りしたら只じゃ…置きます置きます。お願いだからそんな睨まないでくれ獄寺)

……見つけた。優雅に近くの木の枝に腰掛けてる人が。
しかも。

「こっちに手振ってんじゃねーよ!」


思わず大声を荒げてしまい、先生に目を付けられる。


「八代…沢田もお前も、もう少し授業に集中出来んのか!」
「す、すみませ…」
「全く…沢田達とつるむようになって、だらしなくなったんじゃないか?」


ちょっと外に目を向けたら、一旦バジルの方に戻って行ったアルフィンが、何か指示を受けたのかこっちにやって来た。
口に何か加えている。お前アニマル兵器を何だと思って…!!
(まあ、今回はもう良い。次からしっかりしろよ)


ちょっと周りの様子を見て、みんな授業に集中している事を確かめる(ツナ達が見てるけど、別に良いでしょ)と、窓を開けて、アルフィンのくわえている紙を貰った。

『暇そうですし、文通でもいかがでしょうか』

バレてた!暇なのバレてた!
でも手紙を貰った事が嬉しかったので、照れ隠しに睨んでやったら、「図星でしょう?」とでも言いたげに微笑まれた。
何かもう何もかもが恥ずかしくなって、紙に『暇だよ!』と書き殴ってアルフィンに渡す。それにしても綺麗な字だったな。

しばらくボーッとしていたら、また手紙が届く。

『この間、20分で洗濯全て終わらせる事が出来ました!』
知るかよ!畜生、洗濯好きだな本当に!
何これ何て返せば良いの。
ちょっと教室内を見渡したら、炎真が起きていて、ツナとかみんなとニヤニヤしながらこっちを見ていた。こっち見んなよ!恥ずかしいから!

『良かったね。君はそんなに洗濯が好きなのね』

そう書いてバジルに届けて貰う。

うわ、何かツナ達こっち見てたから怒られてやんの。ざまあみやがれ。
(沢田!お前はさっき注意したばかりだろう!古里もよそみしやがって…あ、いやすまない獄寺)

ふん、とか鼻で笑いながら届いた紙を読む。
『まあ香織殿が一番好きですがね』

え…何、これ…。

「は、はあぁぁぁぁぁ!?」
「八代!!!」

すみません先生、でもこれ叫ばないわけにはいかない。顔が熱い。

嬉しそうににこにこしているバジルをこれ以上ないくらいに思いっきり睨みつけたら、また手を振り返された。
あの野郎……!!

ツナ達を見ると、更にニヤニヤしていて何かもういたたまれなくなった。



(何て書いてあったんだー?)
(うっせー山本!授業中に大声で聞くんじゃねーよ!)



(130405)

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