眠いなぁ。
まだ完全に開かない目を擦りながら下へ降りる。


「おー、おはよ」
「おはよ」


朝飯を食べに行ったら晴兄が居た。まあいつもの事だけれど。
お日さま園では18歳になったら独り立ちしてもいいという事になっているので、18歳になった途端いなくなっちゃったりする人もいるけれど、晴兄たちはずっとここにいる。まあ独り立ちしてもみんなよく帰って来るけど。


「はー。もう11時だぜ?」
「良いじゃん休日くらい」
「マサキはもう起きてるっつの」
「そりゃあマサキは部活とかあるんじゃないの?」


人が何時に起きようと人の勝手じゃないか。そう反論したら、あからさまなため息を吐かれた。


「ここはな、孤児園だぞ?」
「そうだね」
「人がうじゃうじゃいるんだから飯を別々に作るの大変なんだよ!」


人がうじゃうじゃって…。よろしくない表現だなぁ。小さく呟いたら、後ろから声を掛けられた。


「晴矢は馬鹿だからね、そんな表現しか出来ないのさ」


風兄のいきなりの登場に、言葉を失う。


「誰が馬鹿だと…っ!?」
「ねえそれより香織、アイスが切れちゃったみたいなんだ。買って来てくれるかい」
「自分で行けよ」


晴兄がつっかかるのを無視して、いきなりアイスの話題。相変わらずマイペースだなぁ。


「私はこれから昼ごはんを作らなければいけないんだ」
「今日の昼ごはんは風兄とリュウジ兄ちゃんかぁー」
「間違っても凍らせんじゃねぇぞ」


リュウジ兄ちゃん料理下手だし、風兄は何でもかんでも冷凍庫に突っ込もうとするから2人が一緒に作る料理は最悪だ。はぁ、とため息を吐いたら、拳をつき出された。


「え、なに」
「お金だよ。渡しておくから、アイスだったら好きな物買っていいよ」


私が手を差し出すと、握っていた手を開いてお金を落としてくれた。
あ、絶対2つ入り以上の買って来てね。そう言われて、分かってるよ、と返す。
何が良いかなぁ、寝起き後の散歩にでも行こうか。

一旦部屋に戻って楽な服に着替えて貴重品を突っ込んだ鞄を肩に掛けて狭いリビングに向かえば、リュウジ兄ちゃんとヒロトさんと治さんが居た。


「あれ、香織、どこか行くの?」


そう言って小さく首をかしげるリュウジ兄ちゃんの可愛さと言ったら!ついでに色気も漂っていて素敵です。


「うん、アイスを買いに」
「まったく…また風介か。嫌な時は断れよ」
「何かあったら連絡頂戴ね。迎え行くから」
「ありがと」


軽く3人に手を振ってリビングを後にする。行ってきます、と玄関で声を出せば、どこかの部屋から誰かの行ってらっしゃいが聞こえた。優しくて温かいお日さま園のみんなが大好き。



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