いい天気だった。
雲ひとつない、文句の言い様のない晴れ晴れとした陽気だった。
だから声をかけてみようと思ったのかもしれない。

こんな天気とは対照的な姿の少年に。


黒猫と白い少年。
(まだ全てを抱えられるほど立派じゃないはずなのに。)


「にゃー。」
何してるの?今日はいい天気だよ。
私は真っ白な少年に話しかけた。
きっと猫の私の言葉なんてわからないんだろうけど、何故か考え事をしている真っ白な少年を無視できなくて。
あ、真っ白、真っ白って言ってるけど
少年の服は真っ黒。
モノクロみたい。
まあ、そのモノクロ少年は私がいる事に気づいてこっちを見た。
「猫か…。」
呟いた声はアルトでもソプラノでもない。
でも不思議と嫌ではなかった。
それに翡翠の瞳。
猫の私でもわかる、凄く綺麗。
髪形が男の子じゃなかったら
女の子に間違えられても可笑しくないわね、きっと。

黒猫の私のことを人間は縁起が悪いだとかで、凄く毛嫌いする人が多い。
縁起が悪いだとかいいだとか関係ないように思えるけど。
だって私は私。人間は人間でしょ?
ただそれを人間の場合、自分の運が悪い日に私と会ったからだとか自分のせいにしたくなくて理由付けてるだけ。
何が言いたいかって、人間に失望してるのよ。
だから別に無視してもよかったの。
ただ、ただ少し興味があったのよ。
「…おいで。」
人間の少年のくせに、優しい声してるわ、まったく。
このまま逃げ出すとかできなくなっちゃったじゃないの。
しょうがないから撫でさせてあげる。
別に少年のこと気に入ったとかじゃないわよ。
「にゃぉ…。」
私が鳴くと少年は少し笑った。
そんな顔できるのね、そっちのほうが素敵よ。
「お前はひとりか?」
もちろん。
黒猫の私はいつもひとりよ。
「…俺は、ひとりじゃないようでひとりだ。」
「にゃ?」
何を言ってるの?
貴方も私と同じひとりなの?
「俺は、氷なんだ。…だから周りを傷つけてしまうし、周りは冷たくて触れない。」
わからない、わからないわ。
だって貴方、ひとりが嫌いなんじゃないの?
それに、貴方が氷なら私が今まで出会ってきた人間は何?
違うわ、貴方は氷なんかじゃない。
例えるならそうね、月みたいだわ。
優しいけれど、どこか冷たさもある。
でも決して嫌な冷たさじゃない。
「お前は、俺を冷たいと言って離れないかな。」
あぁ、違うのよ。
貴方の元から離れる馬鹿なんていないわよ。
気づきなさいよ。
「にゃあ!!」
「…そうか、ありがとう。」
私が人間だったら、貴方を救えたの?

…人間になりたい。


黒猫はひとつ、涙を流した。



−−−−−キリトリ−−−−−
猫・・・好きなんです。

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