※キス注意


冬獅郎は嫌な霊圧を感じてから喋らなくなった。
乱菊さんも首を傾げてる。
仕事が終われば帰っていいと言われていたのに帰らないってことは冬獅郎の事を気にしてるんだろう。
誰も話さない空気が続く。
暫くすると冬獅郎が筆をおいた。
小さくため息をついて、屈伸しているから仕事が終わったんだろう。
すかさず、乱菊さんが茶と甘納豆を冬獅郎の机の上においた。

「お疲れさまです、隊長。」

一言言って、俺にも茶と甘納豆をだしてくれた。

「…仕事が終われば帰っていいと言ったのに。」

ぽつり、冬獅郎が呟いた。
それに対して、乱菊さんは堂々と胸を張った。

「隊長が仕事してるのに帰る副隊長なんていますか!」

「…いつも帰ってるだろうが。」

「う…。」

はぁ、とため息をした冬獅郎の後ろの窓から地獄蝶がひらひらと飛んできた。
地獄蝶は冬獅郎の手に乗って、三・四回羽を閉じたり開いたりしていたが
やがて飛び立って行った。
それを眺めて、冬獅郎のほうを見ると驚愕の顔をしていた。

「冬獅郎?」

「…藍染が、五番隊舎にきた。」

藍染?
何のために…?

「松本、黒崎…行くぞ。」

冬獅郎が嫌な予感がすると言っていたことを思いだした。
でも乱菊さんや冬獅郎が執務室から駆け出したのをみて
その事を頭のすみに追いやった。


「藍染隊長、何故このような事を…!」

雛森は隊員が倒れていく中、藍染に叫んだ。
藍染は雛森を冷たく見下ろす。

「何故?…やはり頭の回転が遅い子は嫌いだよ、君みたいなね。」

それに比べて、と付け足す。

「日番谷君…彼は素晴らしいよ。冷徹と言われながらにして心の内は熱い情に溢れ、真っ直ぐ前を見据える翡翠の瞳は美しい。
斬魄刀は氷系最強と謳われ、部下からの人望が厚く、銀色の髪に素晴らしい霊圧…大人顔負けの頭脳。」

藍染が空を仰ぐように語っている時、雛森と藍染の間に銀色の少年が現れた。

「シロちゃん…!」

冬獅郎だけではなかった。
冬獅郎を挟むように、右には乱菊、左には一護が斬魄刀を構えていた。

「…随分な、過剰評価だな。」

ふ、と笑う冬獅郎だったが目は笑っていなかった。
藍染は心外だとでも言いたげに冬獅郎を見る。

「全て本当の事だよ、日番谷君。それに今回は君に用事があったんだ。」

「俺…?」

「そうだよ、君を招待しに来たんだよ。…虚園にね。」

さっとその場にいた、藍染以外の者に戦慄が走る。
冬獅郎はおもいっきり顔を歪めた。

「誰が行くか。」

一護と乱菊が自然に冬獅郎を庇うように前に出る。

「冬獅郎は連れて行かせないぜ、藍染!」

「私たちの隊長なの、渡すわけにはいかないわ。」

冬獅郎は雛森を自分の後ろに隠す。

「シロちゃん…?」

「大丈夫だ、お前には傷つけさせない。」

俺が…と冬獅郎が呟いた時、藍染が笑った。

「日番谷君が、つくづく可哀想だとは思わないかい?」

ぴくり、冬獅郎が動く。

「どういう事だ、藍染?」

「だって君はソレを護ろうと必死なのに、ソレは君を大切にせず
その存在の大きさに気づいていない。」

冬獅郎は俯いた。
雛森は不安気に冬獅郎の背中から顔を覗こうとするが、表情はわからない。

「…それでも、俺を見つけてくれたのは雛森なんだ。嫌われ者だった俺に
居場所がなかった俺に顔を見て接してくれたのは、雛森だ。だから、俺は護る。」

冬獅郎は斬魄刀を鞘から抜き、藍染に向けて構える。
一護と乱菊も斬魄刀をもう一度構え直した。
それに藍染は微笑む。

「心配しなくても君たちを殺したりはしないよ。…あぁ、黒崎一護君は別だけどね。」

冬獅郎は叫ぶ。

「黒崎をどうするつもりだ!?」

「日番谷君、君はとても頭がいい。しかし、君は間違った。
…僕ではなく、黒崎君を選んだ事だ。」

そう言うと藍染は姿を消した。
その場にいた全員、辺りを見渡す。
次の瞬間、藍染は冬獅郎の目の前にいた。

「「「「!!」」」」

冬獅郎はすぐに雛森を後ろに押し飛ばし、自分もこの場から離れようとしたが、藍染から腰に手を回されて動けなくなった。
押し飛ばされた雛森はすぐに起き上がる。

「シロちゃん!!」

そのまま冬獅郎の元へ行こうとした。

「来るな!」

しかし、冬獅郎の叫びで動けなくなる。

「ど、して…。」

かろうじて出た言葉も小さく、誰にも聞こえない。

「いい判断だね、日番谷君。」

小さく、藍染が微笑む。

「冬獅郎を放せ!!」

「隊長、大丈夫ですか!?」

一護と乱菊が叫ぶ。
藍染は一護を見た。
一護は反射的に一歩、後ろに下がる。

「見ているといい。」

そんな一護を嘲笑うかのように藍染は言い放ち、冬獅郎の顎を支えた。

「!?」

冬獅郎は何かされると感じて逃げようとするが、藍染の力が強く、逃げる事ができない。

「なっ…!?」

その時、藍染の唇が冬獅郎の唇に重なった。

「「「!?」」」

冬獅郎は両手で突き放そうとするが、できない。

「ふ、ん…っ!」

冬獅郎が息が出来なくなり、口を開いたときにすかさず、藍染は舌を入れる。

「ふ、やめ…、ぁ」

くちゅ、と卑猥な音が響く。
段々、冬獅郎の抵抗がなくなり
藍染が唇を放すとぐったり倒れた。
乱菊と一護は人を殺してしまうくらい、藍染を睨む。

「藍染…!」

「さぁ、日番谷君を頂いたからね。そろそろ帰る事にするよ。」

藍染の元に冬獅郎がいるので一護と乱菊は攻撃できない。
そのまま藍染と冬獅郎は虚園へと消えた。



−−−−−キリトリ−−−−−
あわわわ。。。
日番谷さんがピンチです。。。


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