「今日の夜、部屋で待ってるで。」

あいつは確かにそう言った。

期待なんてしてなくて。
むしろ、このまま部屋になんて行かないで裏切られる前に裏切ってやろうと思った。

「なぁ、どうすればいいんだろうな・・・。」

冷たい鏡に手をあてて、問いかけてみても
雨音に包まれて惨めにみえる。

羽織を着ている俺は、俺なのだろうか。
さえない顔を見ると、もうどうでもよくなってくる。

もういっそこのまま濡れて、あいつの部屋に倒れこもうか。
そしたら、少しはあの表情を驚愕の顔に塗り替えてくれるだろうか。

少しの期待に気づかないふりをして。
冷たい、氷のような雨に打たれて、俺は歩きだした。


まわりの死神が声をかけても、
どこか遠い世界にいるみたいに聞こえにくくて。
松本の姿が見えて、何か呼びかけてるけど。
応える気力もなくて通り過ぎた。

どんなに周りが声をかけてきても、
お前は俺に声をかけてはくれないんだね。

今までの甘い思い出はきっと、
俺が勝手に描いてた物語にすぎなくて。
お前にとってはどうでもいいことだったんだ。

わかってる。
お前が来ないことも、お前が部屋にいないことも。

お願いだから期待させるような消え方はしないで欲しかった。


扉を開いて部屋を見渡しても、ほら、やっぱり。
お前はいないじゃないか。

「お前、・・・ないか・・・。」

声に出そうとしても声にならなくて。
冷たい雨が降り注ぐだけ。

あぁ、過去がどうして消えないんだろう。
笑顔がどうして消えないんだろう。
あのぬくもりがどうして消えないんだろう・・・!

「お前は、いないじゃないか・・・!」

嘘なんてついてない?
今、俺はお前の嘘の中で生きているんだよ・・・?
嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき!

ずっと一緒にいるって言ったのに。

傷つくことに慣れていたのに
お前の嘘で傷つくのには慣れてないんだ。

全てを壊す勇気なんてないんだ、
でもひとつを壊す勇気なんてものもないんだ。

次に会うときは敵です。
・・・なんて割り切れるはず、ないじゃないか。

冷たいよ、寒いよ、寂しいんだよ。
心がこんなに叫んでるのに、ほら、やっぱりお前は来ない。

お前は、俺といた時間、全て
嘘だったのか・・・・・??


今、俺を抱きしめているこのぬくもりは
お前なのか?



Rain
(この雨しか真相なんてわからないの。)



一瞬だけ、オレンジがみえた気がした。


−−−−−キリトリ−−−−−
YUIさんのReinをイメージ。
悲しくなりました・・・??

最後、冬獅郎を抱きしめているのは一護ですよ。

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