「冬獅郎ー、帰る…ぞ」

一護が見たのは自分の机にぐったり突っ伏している冬獅郎だった。




「日番谷隊長!?」

学校なのにルキアが冬獅郎を隊長と呼んだ。普段なら危ないが、幸い放課後だったので誰もいない。

「どうしたのですか、日番谷隊長、どこかお体でも…!」

ルキアは冬獅郎の元に走り、突っ伏している冬獅郎に呼び掛ける。
一護も心配になり、二人に近づく。
その時、冬獅郎の口が僅かに動く。

「あつい…」

「「…へ?」」

一護もルキアも目を丸くさせた。
今の時期は真夏。
暑いのは当然だ。
その一言でルキアは理解したようだった。

「氷系の日番谷隊長ですからね…。それに現世はちきゅうおんだんかと言うもので、向こうより暑いでしょうし…。」

「ちきゅう…おんだんか?」

暑いせいか、いつもより冬獅郎の話し方が子供っぽいというか、舌が回っていないようだった。
それでも天才の頭をフル活用し、考えている。

「あつく、なるのか?」

「あぁ。…暑いのは苦手なのか?」
そこでようやく気づいた一護が言う。

「苦手ではない…。」

苦虫を潰したような顔で冬獅郎は机に突っ伏した体制を少しかえた。

「私も現世の夏は…いや、夏は弱いのだ。日番谷隊長は氷系の斬白刀の持ち主であり、氷系最強であられるのだ。私よりさぞかし夏はお辛いであろうが!」

考えてわからないのか、と言うようなルキアの訴えに一護は言った。

「いや、わかんねぇよ…。てかさ、氷輪丸使えばいいんじゃないのか?」

「氷輪丸は…辺りが凍る。それにちきゅうおんだんかと言うものとは違う異常気象で、雪が降る…。
緊急時以外に降ったら、じいさん、怒る…。」

じいさん…と一護とルキアは考える。

「山本総隊長のことでしょうか、日番谷隊長!」
こくりと頷く冬獅郎にルキアは目を輝かせる。

「さすがです常に周りを考えるそのお心!!」

「でもよ、冬獅郎。」

「日番谷隊「あー、隊長さん」なんだ…黒崎。」

「お前、倒れそうな勢いだぞ」

「そうだな…取り合えずここから出ないことには、な。」

そう言って冬獅郎は立ち上がった。
そして教室を出ようとした。
のだが、柱に顔面を打つと言う普段の冬獅郎からは考えられない行動をした。

「…いたい。」

額を押さえる冬獅郎に、いつもなら真っ先に駆け寄るルキアの姿がない。
一護はやばい、冬獅郎かわいいと思いながらルキアをみた。

「くっ…日番谷隊長可愛い…」

ここにもひとり冬獅郎の可愛さに耐えている者がいた。

「黒崎、朽木の妹…」

「「は、はいぃ」」

「この事は…他言無用だ。いいな…」

冷や汗をかきながらこくこくと頷く一護とルキア。
それを見て冬獅郎はふあ、と柔らかい微笑を浮かべた。

「行くぞ、二人とも」

「「おう、(はい、)」」

結局、一護の家に向かう途中に冬獅郎が物にぶつかるところを見る二人はその可愛さに悶えていた。



日番谷隊長の苦手なもの。 
(あついのは苦手なんだ!!!)




−−−−−キリトリ−−−−−
暑いの苦手でだらだらしてるの可愛いなぁと思います!!


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