「今日からサッカー部に入部する、吹雪だ。みんな仲良くな!」

円堂が明るく言っている横で吹雪はマフラーで顔を隠した。



円堂が吹雪の紹介を終えると、メンバーは各自でペアをつくり柔軟をはじめた。
それを見て円堂は吹雪に話しかけた。

「じゃあ吹雪、今からペアで柔軟するから・・・そうだな、風丸!」

風丸は自分が呼ばれるとは思っていなかったので
驚いた。

「なんだ、円堂?」

円堂はいつもの笑顔で吹雪の背中を
とん、と押した。

「ほら、同じクラスメイトのほうが最初はいいだろ。吹雪と風丸がペアな。」

風丸はそうだな、と円堂に言ってから
吹雪に行こうと手を引っ張った。



「吹雪ってサッカーしたことあるのか?凄く上手いよな。上手くなりたくて練習したのか?」

柔軟をする場所について、風丸は吹雪に話しかけた。
しかし吹雪は露骨に嫌そうな顔をした。

「・・・地元のクラブチームに入ってただけ。僕は上手くもないし、
これ以上上手くなろうとも思わない。・・・・僕だけじゃ、無理なんだ。」

「・・・どういうことだ?」

風丸がわからない、というように質問すると吹雪は風丸から目をそらして
顔を暗くして呟いた。

「君には関係ないことだから。」

「関係ないわけないだろ!!」

風丸は無意識で叫んでいた。
どうしてこんなに吹雪のことになると心が動くのか、
風丸はわからなかった。
それでも関係ないと言われたことがショックだった。
それだけは確かだった。

「・・・関係ないじゃないか。」

そんな風丸とは裏腹に吹雪は冷静だった。

どうせみんな偽善者なんだ。
関係ないに決まってる。
僕がいなくなったって、僕が死んだって
相手の人生が変わるわけじゃないのだから。

そのとき風が強く吹いた。

「あっ・・・!!」

吹雪が小さく声をあげた。
風丸にとって初めて見る吹雪の焦った表情だった。

吹雪の視線の向こうにはマフラーがふわりと宙を舞っていた

真っ白な、しかし長年大切に使っていると見るだけでわかるマフラー。
吹雪によく似合う、いつも吹雪が身に着けていたマフラー。
つい先ほどまで吹雪の首に巻かれていたマフラーだった。

吹雪があわててマフラーを追いかける。
その表情は自分にとって命よりも大切だと言っているようだった。

風丸はまた無意識でそれを追いかけ、ふわりと舞っていたマフラーを右手で見事に掴まえた。

吹雪はほっとしたような顔をした。
しかし風丸に見られていることに気づき、いつも風丸に見せる表情に戻った。

「・・・取ってくれなんて言ってない。・・・だけど、ありがとう風丸君・・・だっけ。」

いつもの顔でいつもとは違う素直な言葉を聞いた風丸は笑ってしまった。

「・・・何?」

「はじめて名前で呼んでくれただろ?」

「あ・・・。べ・・・別に。名前、覚えるほど聞いたから。」

「そうか、ありがとう。」

「何でありがとうなのさ、わかんない。」

少しだけ、吹雪と近づけた気がした。




・・・・・・・・・
3話反省

なんか・・・いつも何を伝えたいかわかりません。

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