Doll is ...
※日番谷さんが擬似魂魄です!注意!
そこは冷たい中だった。
水なのか、それとも薬の類いの何かなのか。
ただ、ふわりとした浮遊感と意識の中で、銀色の髪の少年は眠りから覚めた。
(まっくら…。なにもみえない。)
澄んだ翡翠色の瞳で、辺りを見渡す。
しかし、電気が付いていないのかどんな場所なのか全くわからない。
「おや?目覚めたかい?」
ただ一面に真っ暗な空間で、男の声が聞こえた。
それは少年を優しく包み込むような声音だった。
ぱちり、途端に世界が明るくなる。
少年は眩しさに目を細めた。
「すまないね、眩しいだろう?すぐ慣れるだろうから。…ああ、誰なんだって思っているのかな?僕の名前は、藍染。藍染惣右介だよ。」
藍染と名乗った男は、その声音の通り
優しい瞳をしていた。
少年はただ、藍染を見つめる。
「水槽の中では、話せないかな。出してあげよう。」
それと服を持ってこさせよう。と言いながら藍染は、何かのボタンを押した。
(…みずが、なくなる。)
水槽のガラスが開かれ、中に入っていた液体が流れ出る。
少年は少しそれに寂しさを覚えた。
もっとも、少年はそれが寂しさだとはわからなかったが。
「改めて、おはよう。君の名前は冬獅郎。…日番谷冬獅郎だよ。」
初めて聞いたはずなのに、初めてな気がしない。昔から、ずっと昔からそこにあったような感覚だった。
「ひつが、や…とう、しろ、う…」
「そうだよ。僕は君の主人だ。僕が君を造った。」
「あいぜん、が?」
「そう。僕らはずっと共に歩むんだ。いいね?」
(そうか、自分は造られたのか。)
納得するとなんだか頭が冴えてきた。
日番谷は藍染に言われた事が、疑問にもならなかった。
当然だ。
(自分は藍染に造られたのだから。)
「藍染が、それを望むなら。」