人が血だらけで倒れている。
まるで真っ赤なお花畑のようだと神威はぼんやりと思う。

そんな神威の前には彼が戦いたいと言ってやまない銀時と
彼の妹、そして新八がいた。


「神威、何でこんな馬鹿なことをしてるんだよ。」

銀時は目の前にいる神威に問いかけた。
しかし本人からは返事は返ってこない。

「・・・団長ばかりせめるんじゃあないよ、蛮人。」

ぼうっとしたままの神威を見かねて隣にいた阿伏兎が答える。

「そこにいるお譲ちゃんも、団長の親父さんも
みーんな団長に壁をつくったのさ。」

お譲ちゃんと親父という言葉に神楽が反応する。

「ど、ういうことアル・・・?」

そんな神楽を見て神威は笑う。ただ笑う。

「ふふ、神楽、どうしたの?誰かにいじめられた?」

あ、もしかして阿伏兎に?なんて言う彼は以前消えてしまったはずの、
神楽にとって大切な優しい兄の姿だった。

「兄ちゃん・・・・?」

神楽が呟いた言葉にハッと銀時たちは反応した。
その姿を阿伏兎は見て、首を横に振った。

「そうやって面影が見えれば兄貴と呼ぶ。・・・いまさらなんだよ。」

きっぱりと神楽を見た。

神楽はただ震える。それが何によって震えているのかわからないまま。
銀時は理解した。神楽が何故震えているのかを。
新八は顔を歪めた。神威を見つめて。

神威は笑う。いつもの笑顔に戻っていた。
ぼんやりとさえ、していなかった。

先ほどの様子が嘘のように。

「あれ・・・、お兄さんじゃないか?どうしたの
俺と戦う気になってくれた?」

「・・・は?いや、俺たちはさっきからお前の前に・・・」

けろりと今、会ったような神威の口ぶりに銀時は驚いた。
しかし逆に神威は何を言ってるんだとばかりに目をまんまるにさせた。

「え?何言ってるの、今会ったばっかりじゃない。ねえ、阿伏兎?」

「・・・ああ、そうだな団長。」

「「「は!?」」」

そんな神威に阿伏兎は本当のことを言わずにあわせる。
三人はまたそれに驚く。

「こいつはな、壊れちまったんだよ。守るために家族を捨てて
信じていた大切にしてた家族から壁をつくられてそれでも夜兎の血に呑まれないように・・・。
最後は夜兎の心と人の心がぶつかり合ってな。」

阿伏兎は独り言のように呟いた。
とたん、神楽は膝から崩れ落ちる。

ああ、兄が変わったのではなく自分たちが変わってしまったと思い込み
それを正しいと思い込もうとしていたのだと。

銀時は神楽のその姿と神威の姿を見る。
そして何の話?と問い質されている阿伏兎を見た。

「・・・もう、間に合わないのか?」

銀時の問いに阿伏兎はにやりと笑う。

「さあ、どうだかねえ。ただな、こいつは・・・ただの兄でいたいと毎日泣いていたよ。」

「なら、俺たちにそいつ、任せちゃくれねえか?」

間を入れずに銀時は言った。

「・・・勝手にしろ。」

阿伏兎が答えたあと、まだよくわかっていない神威に銀時は笑った。

「おい、神威。お前、今日から万屋の家族のひとりだ。」

新八も、また神楽もしっかりと頷いた。

「・・・かぞく?」

神威はそんな三人をみて呟いた。





壊れたあなたに家族を捧げよう。





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よくわからない文になってしまいました。
続きがありそうな話。このあとおそらく壊れた神威くんと銀ちゃんたちの
生活がはじまります。

しかしつづきはいまのところ書きません。
リクエストあれば書こうかなとか・・・・



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