「ここは誰も通せないんだ。」

あぁ、まただ。
また夢の中で冬獅郎が通してくれない。

もうこれで何度目の夢だろうか。

何故、ここから先は自分を通してはくれないのか
一護にはわからない。
そしてそこまでして通してくれない道を通りたがる自分の気持ちさえも
よくわからないのだ。

この夢の世界は真っ暗だった。
いや、黒・・・闇だろうか。
どこが右でどこが左で、自分が真っ直ぐ歩いているかさえもわからなかった。


一護ひとりだった。
それが歩いていると白い、頭が見えてひとりではなくなった。

冬獅郎だ。
最初は喜んだ。
しかし冬獅郎の後ろの世界がこことは違うことに気づいた。

冬獅郎の後ろは真っ白な世界だった。
白は黒よりずっといい色だ。だれかがそう言っていたような気がしたが
そんなことはないと一護は感じた。
黒の世界にいるより、白の世界にいるほうが自分が壊れてしまいそうだと思ったから。

冬獅郎はそんな黒と白の世界の境に立っている。
冬獅郎のそばに居たくて、一護は白い世界に入ろうとした。

そして冒頭に至るのだ。

この夢はもう何度見ただろうか。
何度、冬獅郎から白の世界に通させてもらえなかったのだろうか。

「ここから先は駄目だ。黒崎。」

いつもはここで夢が醒めるはずなのに終わらない。

「なんで今日は夢が醒めないんだ!?」

冬獅郎に叫ぶ。
しかしやはり黙ったまま。

でも冬獅郎は白い手を一護の後ろの黒い世界に向けて指さした。

「とう、しろう・・・・?」

つられて振り向くと光があった。
希望とも見てとれる一筋の光。

助かるかもしれない。

一護は冬獅郎の手をつかもうとした。

「俺はいけない。」

一護の手をすり抜けて、冬獅郎は言った。

「なんでだよ!」そう言う前に一護は光に包まれてしまった。


ひとりモノクロの世界に残った冬獅郎は何事もなかったかのように
黒と白の世界に立つ。

一筋の光は消えていた。


黒と白
(もう帰ることはできない。)




−−−−−キリトリ−−−−−
ミステリアスな感じにしたかったのに失敗・・・。

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