おねえさんとユウ君
「ユウ君!今日は何の日でしょう!」
「ハロウィン」
「正解です!さすがユウ君!」
読んでる参考書から顔をあげずにユウ君は答えてくれました!っていうか、そこ私の席なんだけどな!ユウ君がそこに座ると私そこに座れないんだけどな!あれかな、座っていいのかな!キミの長い足の上にお姉ちゃんが座っちゃうぞ!そんな勇気ありませんがね!!
「そこでですね、ユウ君。昨日私達のクラスはクラス会議を行ったのです!」
「うん。」
「はい、よくぞ聞いてくれましたっ!」
(…聞いてない。)
「昨日私達が行ったクラス会議の、だ、だ…題名、じゃない題目だ!題目は、『来たるハロウィンではユウ君にコスプレをしてもらいたいんですけど、ユウ君に完璧なコスプレを求めてもしてくれないのは目に見えているのでなんか簡単に装着できそうなハロウィンっぽいものをプレゼントしましょう!』っていうね!会議したの!」
「ああ、無意味だな。」
なんと!無意味!!
ちゃんとユウ君に伝えるために昨日の題目メモって一言一句間違えないで伝えたのに!無意味!知ってた!!
「そこでね、ユウ君。」
「どうしても話を続けるんだな。」
「クラスまんじょういっちで、ユウ君に、このダイソーで買ってきた猫耳カチューシャを付けてもらおうってことになったんですけどいかがですか!」
「断る」
「と言われると思ったので猫尻尾なんかもあるんですけど!」
「断る」
「とさーらーにー言われると思ったのでカボチャピンとかも買ってきたんですけど!」
「断る」
「だーよーねー!わかりきってたんだけど、どうしてもハロウィンなユウ君みたくてお姉ちゃん考えました!次の土曜日のお昼はお蕎麦にして夕食ハンバーグでこの魔女ハット型ゴムでポニテ結わせてくださいお願いしまっす!!」
「………………」
黙った…!
よっしゃ考えてるユウ君めっちゃ考えてくれてる流石お蕎麦とハンバーグ!つよい!!
「…それで手を打とう…」
ぐぬぬ、とユウ君がめちゃくちゃ不本意だけどなと歯ぎしりしそうな顔で参考書から顔をあげて、私の後ろで様子を見守っていたクラス一同が『ぃよっしゃぁぁぁぁああああっ!!』と腕を振り上げた!私含む!やったね!やったよ!魔女ハットゴムなユウ君だよ!お前らその目に焼き付けとけ!あとこれ私のおかげね!感謝してよね!
「ユウ君ユウ君!ちなみに俺、今日お菓子持ってないんでイタズラの方向でお願いしまッブヘァアッ!!」
「田中ーッ!!!!!!!」