へいちょとようじょ(2/15)

ユリアという身元不明の、リヴァイの部屋にいきなり現れた少女を調査兵団団長エルヴィン・スミスの元へ連れて行った。何も無かった場所に彼女がいきなり現れたのだ、普通の子供ではない。しかしこの程度の子供を抑えつける自信がリヴァイにはあった。
あったのだが、いらぬ心配だったかもしれない。


「では、ユリアは図書室で寝ていて、気付いたらリヴァイの部屋にいたということかな?」

「はい。」


ソファに座るなまえは、行儀よく足を閉じ、手はお膝の上。向こうの机に居るエルヴィンの目をしっかりと見て受け答えをしていた。
彼女が小さな頭を頷かせるたびに、頭につけているアーチ型の白い布の端についてる房が揺れる。少女は、自分の目と髪と肌以外、全部白に包まれていた。小さな靴と、そのアーチ型の装飾の端には金色で装飾されていたが、他は全部白だ。白いワンピースの上に、見た事のない模様と形の法衣を纏っている。幼子と、その衣装の組み合わせは、不思議と神秘的な雰囲気を醸し出していた。


「リヴァイ、間違いないか?」

「ああ、顔をあげたら突然コイツが部屋にいた。扉が開いた音もなかったし、気配もなかった。」

「そうか…。」


何か考えるように顎に手をあてたエルヴィンに、「あの」と、ユリアという少女が言った。


「ここは『ダアト』じゃないのですか…?」

「『ダアト』?それはキミの住んでいる場所かい?」

「ダアト、しりませんか?」


ここにきて初めて揺れ始めた不安そうな瞳が、エルヴィンとリヴァイを映す。横に立つリヴァイをエルヴィンが見上げ、リヴァイは首を振る。


「残念だが。」

「そう、ですか…。」


行儀よく膝の上にあった手がもじもじと動き出す。見知らぬ場所に気が付いたら居て不安になってきたのか。そもそも、少女の話を聞く限り、我々の思い浮かべる図書室と彼女の思い浮かべる図書室はまるきり違う気がする。そして、場所も。


「あの…リバイさんたちは、わたしをゆうかい、してきたひとじゃ、ないんですよね…?」

「………」

「………」


沈黙、のち、笑いだしたのはエルヴィンだった。リヴァイはというと、眉間に皺を増やしている。


「なんで俺がしょんべん臭ェガキを誘拐しなくちゃならねぇんだよ。」

「くさい…!」

「いや、臭くないよ。」


リヴァイの言葉に服に鼻をあてた少女にエルヴィンが更に笑みを濃くする。そして小さく「リヴァイ、」と彼を窘めた。


「ではユリア。キミはダアトというところからやってきたのかい?」

「…はい。ダアトの、ローレライ教団のユリアともうします…。」


まだ小さな少女なのに、幼さを感じさせない口調だ。何処かの金持ちの娘、という判断も少し違う気がする。何故なら口振りも仕草も、そして何よりその服装が、エルヴィンの判断に待ったをかけていた。

この子は、一体…。

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