大好きの正銘(1/4)


ユーリはとてもいい男だ。
顔よし性格(ちょっと捻くれてるけど)よしスタイルよし。こんな完璧な人間いるのか!?って思うほどいい男だ(まぁ、ちょっと財力はないけどね)。男の人なのに伸ばしてる黒髪は全然長ったらしく感じないし、ちょっと愛嬌を感じる大きな瞳もいい、薄い唇から出るブランデーケーキみたいな声も好き(甘くて美味しくて気分もよくなっちゃいそう)。性格は、最初は何か掴みにくいやつって思ってたけど実は意外に仲間思いの熱い男で、困ってる人がいたら何だかんだ助けちゃうアニキみたいなところは本当にかっこいい。顔がちょっと童顔なんだけど身長は高い。180以上ってなかなか出せない数値だと思うよ。でもユーリに見下ろされて頭ぽんぽんしてもらうの好きだからいいんだ。


「はぁ」

「どうしたんだよ、溜め息なんて」

「どうもこうも…」


目の前に完璧な男がいて、色々考えてたら何か溜め息が出てました(事後報告)。甘いものが好きなユーリは今日も窓辺に腰掛けて貴重なアップルグミをぽいぽい口にいれて食していた(一個100ガルド…)。


「ユーリ後でちゃんと買い足しておいてよね」

「はいはい。で、どうしたナマエ」


宿屋備え付けの小さな椅子に腰掛けた私はこれまた小さな机の上に肘をついてその上に気だるーく顎を乗せていた。ユーリはそんな私にグミ袋の紐を締めて窓辺から私の近くまで寄ってきてくれた。相変わらず優しいな。元気のない仲間見ると何となく寄ってきてくれる。


「…ユーリがいい男すぎて困ってたの」

「そりゃどーも」

「その余裕のある感じ、嫌いじゃない」

「俺もナマエが俺についてもんもんと考えてるの好きだぜ」

「もんもんしてないもん」

「そうか?」

「そうだよ、勘違いしてないでよ、ばか」


嘘。本当はいつも常に毎時もんもんしてます。ユーリかっこいいな、ユーリなんであんなにかっこいいんだろ、ユーリ本当イケメンすぎて生きてるのが辛いとか、いつもいつも私の頭の中はユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリユーリ(以下略!無限!!∞!)旅の途中でユーリに「好きだよ」と告白されてから私達は晴れて恋人同士にはなったものの、あきらかに好きの重さが比例していない。もちろん、重いのは私だ。


「…何か、私ばっかユーリ好きみたいで悔しい」

「なんだよ、やっぱりもんもんしてたんだろ」

「あぁしてたよしてましたよ!これで文句ないか!」


いーっっっだ!ってユーリは何も悪くないのに私は口の端を引っ張って見せるとユーリは一拍だけきょとんとした後、いつもの余裕のある笑みを私に見せた。その笑みに何かすっごい子供っぽいことしてしまった、と私は恥ずかしくなってユーリから目を逸らした。


「本当どうしよう…。私とユーリの好きの比重が違いすぎて。私ばっかユーリユーリ思ってて、ユーリは私のこと、」

「ナマエ」


ブランデーケーキ。みたいな声で名前を呼ばれて私の言葉は遮られてた。何か有無を言わさない声、だけど優しい、みたいな。子供っぽいことをしてしまった後、続けて子供っぽいことを口走ってしまった恥ずかしさに顔を上げられずにいると、ユーリに向けてる頭にぽん、と大きな手が乗ってチュッて音がした。思わず顔を上げれば優しく笑ってるユーリがいて、顔を上げた私をわかっていたように今度は唇にキスされた。マシュマロよりうんと柔らかいそれが私の唇に触れて、心がきゅっと締まって、唇が離れた後ほろほろとほぐれていく。


「多分、っていうか絶対、ナマエが思ってるより俺はナマエが好きだ」

「嘘だね」

「お前な…」

「だって私ユーリがドン引きするくらいユーリ好きだよ!私の頭の中見せたらユーリ多分ドン引くよ!ドンだよドン!ドン・ホワイトソース!」

「ホワイトホースな。…それは俺も同じ。でもナマエよりもっと酷いと思うぜ。ナマエが俺の頭の中覗いたら、…多分、嫌う(か、精神崩壊するか、だな)」

「私がユーリを嫌うわけないよ。」

「それでも、だな」


私がユーリを嫌うほどユーリは私を好きってユーリの脳内どうなってるの、と言おうとすれば、はぐらかすようにユーリのキスがこめかみにきて、目を瞑れば唇にキスされた。な、流れるような動作だね!


「俺の脳内、ちょっと覗いてみるか?」

「絶対私の方がドンだよ。」

「いや、俺だと思うぜ。」


覗いてみるか?なんてそんな飛ばしていきますかみたいに言うユーリはどうするつもりなんだろう。頭でも割ってみせてくれるつもり?残念ながらそんなグロテスクな映像は勘弁して欲しい、と思ってたらユーリに腕を引かれて立たされた。「はい?」とユーリを見上げればユーリの大きな手に頬を撫でられてまた唇が落ちてくる。唇の弾力を楽しむかのようにユーリは唇を合わせては離して、合わせては離して、また合わせてはを繰り返した。ちゅ、ちゅ、と落ちてくるキスに私も応えているとユーリの大きな手はゆっくりと移動して私の背中を通って腰に辿り着く。優しく引き寄せられてユーリと私の体はぴったりと合わさった。ユーリの固くて大きな体、好きだ。


「ん、…ユーリ?」

「言ったろ?俺の脳内覗くかって」

「……覗いても私の方が」

「それは、覗いてからもう一度言ってみな」


親指で唇を撫でられて抱き寄せられた腰がぞくぞくした。ぶるぶるって身震いしたくなるのを我慢してユーリの胸板に顔を埋めるとぽんぽんと頭を撫でられた。駄目だ、ほら、やっぱり私の方がユーリ好きだよ。ユーリに触られるだけでこんなにも私の心臓がばくばくいってる。キスとか普通にユーリはしてくるけど、キスされると私心臓とっても苦しくなるんだよ。おもけに呼吸も苦しくなるし、なんか脳内がとろとろしちゃうんだよ。
だから、その、あのね、ゆっくりベッドに押し倒されてしまうと、本当心臓が壊れ、ちゃう。


「ベッド行く時の体固くするナマエが好き」

「…へ…?」


がちがちに緊張してしまう私に降ってきた言葉を理解する前に、すぐにユーリのキスが再開された。今度は唇食べちゃうぞ、みたいなキス。下唇と上唇をランダムにあむあむされて、私はこれが嫌いじゃない。呼応するように私もあむっとすればベッドとユーリに挟まれて、逃げ場のない私はユーリの唇の侵入を許してしまう。ユーリの顔がぐっと近付いてもう唇合わせるとかそういうレベルじゃない。もっと近い距離。多分近すぎてプラス値出るぐらいの距離。ユーリの腕がすぐそこに置かれてベッドがぎしって鳴った。何度も角度を変えて私の口腔内を楽しむユーリ。苦しくなって胸板を押せばユーリは余韻を残すかのようにゆっくり離れて楽しそうにも嬉しそうにもしてた。


「キスしてすぐとろんとした顔になるのも、可愛い」

「な、に…?」

「ほっそい首は見ててたまに怖くなるが、でもやっぱ好きだな」

「ユーリ?」

「白いから、すぐ痕つくだろ」

「…へ?…んっ」


長い黒髪を耳にかけたユーリの仕草に見惚れているとユーリが私の首に顔を埋めた。ちゅう、とくすぐったいような痛いような感覚が首に痺れて、最後にべろりと舐められた(ふ、わっ)。それからユーリの唇は首を辿ってゆっくりと落ちていき(たまに肌に触れる唇が、くすぐったい)、服に辿り着く。ユーリは押し倒した私の腰下あたりに軽く乗り(乗って平気なのに)(優しい…)、私の服のボタンに手をかけた。ゆっくりと、でも手際よく脱がされて、着せ替え人形ではない私は恥ずかしくてたまらない。ちょっとタイム、とユーリの手に触れてもユーリはそれをやんわりと返す。


「服を脱がすとだんだん色っぽい顔するよな」

「さっきから、なに?ユーリ、」

「俺の脳内見せるって言ったろ」

「…恥ずかしくて、それどころじゃないよ…」

「その顔、可愛くて好き」

「ユーリー!」


可愛いとか好きとか言われてもやられてる行為に褒められている気がしない。ぷつぷつと脱がされていく体に今更ながらも腕で隠してユーリをちょっと睨めば、ちょうどユーリが全てのボタンを外し終えた所で、隠した腕は優しく押し戻された。さっきから、優しく笑ってるユーリの顔が悔しい。かっこよすぎて…。


「柔らかい胸もいいな」

「…どうせ小さいよ、」

「育てる楽しみがあるだろ」

「…えっち…」

「なんとでも。」


ユーリの大きな手が、指が、擽るように私の胸の輪郭をなぞって、擽られて本当はくすぐったいはずなのに、どうしてかユーリが触ると私の体はぞくぞくざわざわしちゃう。そのうち私の小さな小さな胸(ジュディ比)はユーリの大きな手にすっぽりと収まっていて、感触を確かめるように弱々しく掴まれた。ふわふわと触られたり、下から上へと持ち上げながら触られたりしていると自然に鼻呼吸から口呼吸に変わってしまう。自分を落ち着かせるように(もう心臓どきどきだよっ)深く息を吐けばユーリがくすっと笑った。そして優しく揉まれていた胸の下着をゆっくりと外されてユーリの前に自慢箇所など1つもない私の上半身が晒される。ユーリはそんな私の上半身をゆっくりと眺めていて、いや、そんな見る場所もない体ですからじっくり見ないでくださいとユーリの体を突き飛ばしたくなるのだけど何故か私の手はユーリの手首上をやんわりと掴んでいた。ユーリは跨がっている私の腰下から手を這わせ、何かを塗り込むような手付きで私のボディラインを撫でた。


「…っ」

「白くて柔らかい。ずっと触ってられるな。」


ユーリはその言葉の通り私の体をいつもより入念に触っていた。腰からあばら、胸を通って鎖骨、首、肩、腕。腕までいったらまた腰、あばらと。その手付きがあまりにも優しくて体が溶けるかと思った。甘さという熱で。
撫でられていると思っていた私の体はどうやらユーリのなでなでによりほぐされていたらしく、もう何周目かわからないユーリの撫でに私は既に小さく震えていた。ユーリの指先にぴくぴく震えだした私をユーリはすごく楽しそうに笑っていた。そんな顔にもうやだかっこいいだけど悔しい私ばっかユーリ好きすぎて、なんてごちゃごちゃの感情を向けるようにじとり睨めばユーリの楽しそうな視線が下がって、胸を優しく掴まれたと思ったら親指で今まで触れてなかった胸の先をやんわりとはじかれた。


「んっ」

「可愛い、」


胸の先を親指でくりくり触られた。上半身を散々撫でられて胸もやんわり揉まれていただけでそこには全然触ってくれなかったのにっ。こんな、撫でられただけで感じちゃってる今に、触る、とかっ。


「んんっ」


ユーリの、剣を使う大きくてごつごつした手が、私の胸を覆う。そんな手を余らしてしまう小さな胸についてる飾りをユーリはお菓子を指先で遊ぶようにくりくりしたり、こねたり、優しく摘んだりした。いっそ、もうちょっと強くやってくれれば何ともないものの、擽ってるような優しい手付きに体全身が震えてしまう。ちりちりくるその感覚につい身動けばユーリが私の胸下を逃がさないとばかりに掴んで、私はに、逃げない、感じちゃうだけだと首を振った。


「ゃ…」

「や、じゃねぇよ。まだ俺の脳内全然見せれてない…」


ユーリの中で何か勘違いが起きたらしく(だから、逃げないよ)(逃げれないし)ユーリが身を屈めてきて、苦しくない程度にユーリの体の重みが私にかかる。ユーリの重みが気持ちいいなんて言ったら変だろうか。でもね、すごく幸せ。
身を屈めたユーリにもっとのし掛かってくれていいのに、とユーリを覗き込もうとした自分をひどく恨んだ。ユーリは薄く唇を開け、べろり唇を舐めて私の胸の先っぽを口に含もうとしていたのだ。

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