零崎刹識の人間刹那 | ナノ

第二十五章





ただいま黎織と朱識曰わく最高の復讐劇を計画中。
結局、計画の中心になってるのは言い出しっぺの2人ではなく俺。


黎織「黒幕だーれだ!」
輝識「知らねえよ!知らねえから考えてんだろっ!!朱識は何か知らねえのか?」
朱識「知らん。ってかなんでこんなことになってんの。言い出しっぺは誰?」
輝識「いや、俺は何も言ってないって顔しない。確実に言い出しっぺはこっちの馬鹿とお前だ。」


…言い出しっぺがこれだから計画が計画じゃなくなってる。
刹識のやつは悠々と読書してやがるし、黎織の馬鹿は酒でも飲んだのかってぐらいテンションが高いし…ってか、


黎織「馬鹿とかひどーい!はっ、まさか黒幕は輝識っ!?」
輝識「んなわけねーだろっ!!ってか黎織酒くさっ!!誰だよ酒飲ませたのっ!!」
黎織「らいじょーぶ、らいじょーぶ!ちょっとらけらからー。」
輝識「ちょっとどころじゃないだろっ!酒、がぶ飲みしたなっ!」


周囲をよく見渡すと缶ビールが二本転がっていた。
刹識は優雅に紅茶を飲んでるから犯人じゃないとして…
そう思いちらと朱識をみる。
そこには片手に缶ビール一本持ってせんべいを食べている不届きものがいた。


輝識「犯人おまえかぁーっ!!」
朱識「え、何?黎織が飲みたいって言ったから飲ませたんだよ?なんか文句ある?」
輝識「お前、酒強いな…。」
朱識「慣れ、だよ。」


そう言って普通に一本飲み干した朱識はまた新たにビールを飲み始めた。

ってか計画どうすんだよ。
言い出しっぺがこれじゃあな…


輝識「せつし
刹識「殺して欲しいのか?」
…いえ。」


刹識の読書は邪魔したらいけないんだった…。
零崎禁断行動の一つだったよな。

因みに零崎禁断行動とは、
刹識の読書を邪魔しない
人識にお洒落頑張ってると言う
双識の目の前でスパッツを履く(女子限定)
俺の目の前で紙飛行機を飛ばす
の四つだ。


刹識「そんなに急がなくてもいい。友がいま全力で黒幕を探しているからな。」
輝識「…。



それを先に言えよっ!!ってか俺の苦労って何っ!!」
刹識「心配するな、減るもんじゃない。」
輝識「だーっ!!なんなんだよっ!!」






計画を立てるだか立てないだかで揉めた日の翌日。
黎織は昨日大量の飲酒により二日酔い。
朱識は元々お寝坊さんらしい、なかなか起きてこない。
輝識は起きてきたものの昨日の出来事と低血圧により寝起きの機嫌の悪さが超最悪だ。

結局爽やかに起きてきたのは私のみだった。
そして、勿論こんな調子では朝食を作るのも勿論私になる。


刹識「…なんだかもう嫌だ。」


そう言いながら工房に立つ。
もうある程度(残り半分程度)出来上がっている料理を見て溜め息をつく。

爽やかに起きていても、さほど寝ていない。
朝の朝食準備の為、早起きしているのだ。


輝識「刹識、ごめんっ!手伝う!」
刹識「あ、ありがとう。じゃあ料理を運んで。」
輝識「わかった。」


機嫌の直った輝識が手伝いに来てふと思う。
今ここに、双識も軋識も曲識もいて家賊が揃っていたならこんな準備も大変じゃなかったのに。


刹識「…ふぅ。」
人識「なんか手伝うか?」
刹識「人識…」
人識「兄貴達はそろそろ戻ってくるだろ。それまで…いや、それからも俺たちが手伝ってやる。」


そう言って出て来たのは人識だけではなく、崩子や萌太、蜘蛛織、それに空識に京織だった。
崩子と蜘蛛織、空識と人識は置いてある料理を丁寧に運んでいった。
残った萌太と京織は私の手伝いをしてくれた。

私はたった今、メインの料理で手一杯で、デザートや今日の午前中のお菓子、飲み物や昼食の下準備にも手をつけていなかったのだ。
2人には、本当に助かる。


刹識「ありがとう、2人とも。」
京織「いいの。私、デザートと飲み物用意するね。」
萌太「僕はお菓子を作りますよ。」


笑顔でそつなくやってくれる2人に、私は肩の荷が軽くなった。

もうちょっと、頼ってあげても良いかもしれない。
笑いながら料理を作り上げていった。
京織の作るデザートは栄養を気にしているが、見栄えもなかなかいい。
私より京織が作った方が可愛いし、栄養もいい。
お菓子を作っている萌太の方はクッキーからポテト、ケーキなどバリエーションは広く、味の種類が多い。
私よりも萌太の方がみんなが楽しめる。


黎織「ごめんっ刹識!下準備しちゃった!?」
刹識「やることが多すぎて手がつかなかった。」
黎織「気にしないで!私がやるから!」


元気よく慌てて入ってきたのは黎織だった。
彼女は丁寧で工夫が凄いので、下準備を任せている。
いつものこと。
これが私達のいつもの日常、いつもの朝なのだ。






<<back>>