零崎刹識の人間刹那 | ナノ

第四章






―屋上―



屋上から見える空は清々しい青い空だった。


萌太「清々しいね…」
崩子「刹那お姉ちゃん」
刹識「ん?」


訝しげな顔をしていた崩子ちゃんと蜘蛛織がいた。
何か感じているようだった。


蜘蛛「先客が居たようですよ…」


振り向くが太陽でよく見えなかったが、微量の殺気は感じられた。


??「君たち、群れるなんて良い度胸だね…。咬み殺してあげるよ。」


奴は私に向かってきた。
私はなんの抵抗もなく腕一本で防ぎ拳を一発腹にいれてやった。
勿論、手加減無しで。


刹識「なんの真似かな…雲雀…いや、匂宮霊夢」
霊夢「ワォ…刹識だったんだね。吃驚だよ。」


全く驚いてないくせに――


「あれ?先客がいたみたい」
「あっ、本当だ。」


そこにきたのは、私たちの大切な家賊だった。


京織「刹識のお姉ちゃん…?」
空識「人識お兄さんじゃないですか?」


ばったりと出会ったのは大切な弟妹、零崎空識と零崎京織の二人に間違い無かった。


蜘蛛「おやおや?誰かと思えば、空識兄様と京織姉様じゃないですか!!驚かさないでくださいよぉ、危うく家賊を殺すところでしたぁ!!」


オイ、コラァ?聞き捨てなら無いぞ?
家賊を殺すなよ蜘蛛織


霊夢「家賊を殺すなんて、言ったらだめだよ蜘蛛織…」
空識「ところで、なんで刹識姉さん達が此処に?」


そんな他愛もない会話を繰り広げていると空識がやっと最もなところを突いてきた。
騒がしさがピタッと止む。
そこで人識が口を開いた。


人識「家賊に手ぇ出したら皆殺しだろ?」


その言葉に京織と空識は過剰に反応を示した。
例え手を出した相手が一般人でもマフィアでも関係ない。
家賊に手出したら皆殺しというルールだから。


京織「私達は、守れなかったの…」
空識「自慢の、大好きな、家賊を」


震える声で二人は言葉を紡いだ。
あの震えは恐れじゃない、悲しみじゃない。
守れなかった悔しさだ。
私はそう感じ取った。
刻まれたのは憎悪、背負うのは掟と秩序、心に決めたのは――

刹那「―黒い復讐のみ。」








??「お前たち、何者なんだ?」
萌太「誰だい?此処には僕等しかいない筈なんだけど?」


気配は全くしていなかった訳ではない。
気付くのがめんどくさかっただけだ。
声のした方を全員が見た。
そこにいたのは。
霊夢「最恐の赤ん坊――」
空識「――リボーン…」


反応を示したのは霊夢と空識、京織だけだった。
私は興味なかったがあまりにも蜘蛛織が威嚇するのでしょうがなく聞いてやった。


刹識「なぁ」
京織「なに?」
刹識「これは味方か?」


これと言ってリボーンと呼ばれていた赤ん坊を指差す。
京織と空識はそれを見て苦笑いをする。


空識「彼は裏世界の情報屋だよ」
京織「少なからず敵じゃないよ」


二人はそう言った。
二人からはそう見えているみたいだ。
本人はどうなんだろうか。


刹識「オイ、リボーン」
リボーン「なんだ」
刹識「お前は私達の味方なのか、敵なのか」


単刀直入に聞いた。
わからねぇ、そう言うと思ったが、リボーンから返ってきたのは意外な言葉だった。


リボーン「あいつ等に味方するのはめんどくさくなったんだ。」
崩子「どういう意味ですか?」


崩子ちゃんが深く突く。
リボーンは隠さず私たちに言った。


リボーン「俺は真っ直ぐ育てたはずだがな、どっか曲がっちまってな。まともに育ったのはツナ――いや、空識と京織に霊夢だけ。あいつ等には失望しちまったんだ。」
刹識「ほう?」


空識と京織に此処まで戦闘意識と強靭の精神力と揺らがない精神安定を施したのはほかでもないリボーンだったのか。
流石は裏世界で最速の情報屋。
最新の情報に彼が知らない物など無い。


刹識「と言うことは」
リボーン「お前等についてやるよ」
霊夢「赤ん坊がついているなら力強いね」


そうして、黒い復讐劇は始まった。
同時に、残酷なゲームが開幕した。










賛同者はついて来い
何があってもkingは前に進む
復讐に感情は要らない
要るのは憎しみと
強い怒りのみ








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