瀬名→守沢→朔間(凛)


◆瀬名泉(芸術の秋)

「ちょっとなまえ、こんなとこに座り込んで邪魔なんだけどぉ。さっきからなにやってるわけ?」
「あ、瀬名先輩。見てくださいこれ!」
「…花の絵?」
「はい、写生してたんですよ。芸術の秋ですからね、こう見えて絵は得意なんです!」
「ふぅん、まぁまぁ描けてるんじゃない?」
「瀬名先輩も一緒にどうですか?はい、紙とペンです。何でも好きなもの描いてくださいね♪」
「はぁ?何で俺がそんなことしなきゃなんないわけ。やらないからねぇ」
「瀬名先輩はスタイル良い上に芸術センスも高そうですよね!よっ、日本一!」
「何当たり前のこと言ってるわけ?まぁ、どうしてもって言うなら仕方ないからやってあげなくもないけど」
「瀬名先輩の無自覚なツンデレに萌え……じゃなくて、じゃあ描いてくださいね。はい、スタート!」
「………………」
「………………」
「………………」
「……瀬名先輩、描けましたか?」
「……まだ」
「………………」
「………………」
「……描けましたか?」
「……もうちょい」
「………………」
「………………」
「……どうですか?」
「………で、できた…。はぁ…ったく、この俺の腕を疲れさせるとか有り得ないんだけど。後でマッサージしてよねぇ」
「腕だけと言わず、ありとあらゆる所を揉みますよ!では、せーので見せてくださいね」
「あんた最近エロオヤジと化してるよね。はいはい、せーの…」
「わぁ、瀬名先輩の絵、すて……き……?」
「ちょっと、何で疑問符ついてるの」
「えぇと、すみません、私の理解力が足りないんだとは思うんですけど、これ何ですか?」
「はぁ!?どう見たって花畑でしょ!頭おかしいんじゃないの!」
「あ、お花畑ですか…ドラクエのダメージ受ける沼地かと……。えっと、じゃあこれは宇宙船とそこから降りてきた宇宙人(大小)2匹ですかね?」
「あんたバカなの!?どう見ても飛行機と犬でしょうが!隣のは散歩させてる人。ほんと理解力ないねぇ」
「あ、散歩…ということは、これは犬のリードなんですね。宇宙人同士で紐で首絞めてるのかと…何か目玉飛び出してますし…。えぇと、じゃあこのモジャモジャしたのは?」
「ったく、何回聞いてるわけ?これは空を翔んでる鳥の群れ。あんた描いてるものも分からないとか、本当に芸術のセンスないんじゃない?」
「くぅ…さすがの私も何だかこの状況のやりきれなさに瀬名先輩に対する怒りが……。じゃあ最後に、これは何ですか?」
「………………」
「…瀬名先輩?」
「………………」
「先輩、これは何ですか?」
「………………」
「先輩ってば!」
「あぁぁぁもう、うるさい!見りゃ分かるでしょ!なまえを描いてやったの!有り難く思いなよねぇ!」
「え、わ、私を!?瀬名先輩……!」
「何でも好きなもの描いて良いって言ったの、あんたでしょ」
「うっ…瀬名先輩……嬉しいです…」
「花畑で美味しそうに莓食べてるとこ描いてあげたんだからね。可愛く描いてあげたんだから、感謝しなよねぇ」
「あ、ありがとうございます…!毒の沼地で口から血を噴射しながら雄叫びを上げているようなゾンビが、花畑で美味しそうに莓を食べている私だったなんて…!せっかく瀬名先輩が私を描いてくれたのに、気付けなかった私のバカバカ!!くっそヘタすぎる上に自覚なくてもう救いようがないけどそんな瀬名先輩やっぱり一番大好きですぅぅぅぅ!!」
「あんた夜中までよーーーくその話聞いてやるから今すぐこっち来なぁ!?」


◆守沢千秋(スポーツの秋)

「はっはっは!汗をかくのは気持ちが良いなぁ、体の奥からパワーが漲ってくるぞ!青春の汗!正義の汗!そしてヒーローの汗!!」
「う〜…ダイエットも兼ねてジョギングに付き合ってみたものの、千秋がバカみたいにペース早くてもう限界…」
「どうしたどうした?まだ5kmしか走ってないぞ、さぁここからが折り返し地点だ!」
「はぁ!?10km走るつもりなの!?あんたもうそれジョギングじゃなくてガチのマラソンじゃん!」
「そうか?バスケ部ではよくこのメニューを練習に取り入れているのだが…」
「何その地獄のメニュー…高峯くんなんて絶対来ないでしょ…」
「確かに高峯は来ないな。だが高峯も明星もメニューが嫌なわけではなく、体調不良で来れないと言っているぞ!衣更は来てくれるのだが、毎回顔色が悪くてな…悩みごとでもあるのかと心配してるんだ」
「体調不良っていうアホな言い訳で通るから彼等は幸せ者だわね。というか真緒が気の毒すぎる…」
「よし、残りの5kmをさっさと終わらせてしまおう!行くぞ、なまえ!」
「待って待って!私もう無理だよ…千秋だけで走ってきて」
「む、何を言ってるんだ。一緒に手を繋いであの真っ白なゴールテープを切ろうと誓い合ったじゃないか!」
「誓ってないわ!誰がゴールテープ持ってんだ!はぁ、私には運動でダイエットは無理そうだよ〜、こうなったら食事制限で頑張るかな…」
「食事制限は良くないぞ!しっかり食べて沢山動く!そうすれば自然と痩せる体になるはずだ」
「うーん、そもそも運動嫌いだし。あーあ、楽して痩せる方々ないのかな。ゴロゴロ寝てるだけで運動できるとか」
「こらこら、寝てるだけなんて…」
「ベットに横になってるだけで痩せれたら幸せなんだけどな〜」
「………………」
「なーんてね、そんなこと出来るわけないか」
「……いや、ある、あるぞ!!」
「え?」
「つまりは寝ながら運動ができれば良いわけだろう?」
「うーん、まぁそういうことになるのかな…?」
「それなら良い方々がある!多少お金がかかってしまうが、なまえの為ならそのくらいお安い御用だ!」
「え!ま、まさか深夜の通販番組とかでやってるお腹に巻くだけで腹筋1万回、これであなたもウルトラボディとかっていうあのスーパーマシンを私に…!?」
「ふふん、目が輝きだしたな。いいぞいいぞ、その顔が見たかったんだ!さぁなまえ、俺について来てくれ!ヒーローたるもの困っている人を見捨てて一人で走り去る訳にはいかんからな。すぐにその願いを叶えてやろうではないか!」
「ありがとう千秋!スーパーマシンの為なら頑張るけど、どこまで走ればよいの?さすがにあんまり遠いところは無理だよ〜」
「心配するな、以前に下調べをしておいたおかげで場所は分かっている。有り難いことにこの先5分の所にあるぞ!」
「本当に?千秋もスーパーマシンに興味があったなんて…でも千秋はスタントの仕事もしてるから、確かに体を鍛えるのも仕事のうちだもんね」
「よし、行くぞ!……ほら、もう見えてきたぞ!」
「え、本当?どこどこ?お店らしきものなんて見当たらな……ってまさか!」
「さぁ着いたぞ、ラブホテルに!お望み通り、ベッドの上で熱い汗を流そうじゃないか!」
「おいコラ騙したな!スーパーマシンじゃないじゃん!!」
「マシンを使いたいだなんて、なまえは積極的だな…☆ここのラブホテルは中に色んな種類が売ってると羽風が言ってたから安心してくれ!」
「そのマシンじゃねぇよ!無自覚な下ネタやめろ!!」
「さぁ行くぞ、正義のために!!」
「や、やだ!千秋のバカ!嫌い!」
「……なまえ、嫌いだなんて言わないでくれ…。俺はお前が一番大切なんだ」
「千秋…わ、わかったよ、ごめん。あの…優しくしてね?」
「勿論だ!!なまえ、愛してるぞ」
「うん、私も…。ラブホテルなんて恥ずかしいけど、千秋なら、いいよ…」
「なまえ…」
「………(ドキドキ)」
「………………あ、」
「え?」
「はっはっは!財布を忘れた!!」
「よし、私ボクシング始めるから息の根が止まるまでその顔ミットになって1万発殴らせろ!!!!」


◆朔間凛月(行楽の秋)

「ねぇねぇ凛月、紅葉も見頃になってきたしピクニックに行かない?」
「…ん〜、眠くてよく聞こえなかったけど、まさかピクニックって言ったの?インドア王子のこの俺にアウトドアのお誘いをしたの?お天道様の下で天日干しになって味噌汁の出汁にする干物になれって言ったの?」
「んなこと言うか!!アウトドアって程じゃなくてさ、お弁当とか持ってシート敷いて紅葉見ながらのんび〜りしようよ」
「紅葉ねぇ…。木を見て何が楽しいのか俺は理解に苦しむんだけど〜…」
「たまには良いじゃん、綺麗だよ!それにシート敷けば寝っ転がれるし」
「うーん、仕方ないなぁ。分かった、じゃあ22時待ち合わせでよろしく〜」
「なんでやねん!暗すぎて肝心な紅葉が見れないだろーが!」
「ふふ、月夜に照らされてるなまえの顔が見たいんだよねぇ…♪」
「えっ……り、凛月…」
「きっと綺麗なんだろうなぁ」
「そ、そんなことないよ…」
「あれ、照れてるの?ふふ、なまえってばかわい〜ねぇ」
「も、もう、えへへ、そんなお世辞言ったって昼間に待ち合わせだからね?」
「ちぇっ、なーんだ…」
「こら!私のトキメキを返せ!!」
「うーん、気分が乗らないけど、たまにはデートもしてあげないとねぇ。いいよ、その代わりお弁当作るのが条件」
「わぁ、ありがとう凛月!もちろんお弁当頑張って作るから、リクエストあったら言って!」
「そうだねぇ……じゃあ、コウモリの唐揚げ」
「……………は?」
「それと、マンドラゴラの佃煮」
「…え、ちょ、……」
「あと、トカゲのお浸し。蛇の天麩羅。蛙の卵入りオムレツ。デザートには魚の内蔵入りケーキで、飲み物はもちろんなまえの血〜♪」
「ちょちょちょ、待って待って…」
「ふふ、紅葉を見ながら俺の大好物を堪能できるなんて、アウトドアも悪くないねぇ。しかもなまえの手作りで」
「いや、ま、待って…」
「家にいるならそんなにお腹空かないし、人間の食べ物でも良いんだけど…昼間から外にいると体力使うしねぇ。昼間でも起きてられるくらいパワーのあるもの食べないと」
「あ、う………」
「まぁ、やっぱり家にいるって言うなら別だけどね。家にいるならね」
「……………」
「そういえば、家にせっちゃんからもらったゴディバのチョコレートがあったなぁ〜」
「えっ、」
「あと、かさくんからマダムシンコのバームクーヘンも…」
「えぇっ、」
「なっちゃんからは、モンシュシュのロールケーキ…」
「はわわわわわ!」
「でも、外に持ってけないね。アウトドアには不向きなものばかりだから諦めよう〜、それに俺はなまえが作ってくれたコウモリの唐揚げたちのほうが断然好み…♪なのでさっきのスイーツたちは纏めてま〜くんの胃袋にプレゼント…」
「凛月!やっぱり私、凛月が苦手な日光の照らす時間に外に連れ出すことなんて出来ない!だって大事な凛月の体調が悪くなったりしたら、私…私…!紅葉なんて見れなくて良い、凛月となら夜の綺麗な星で良いの!!無理してアウトドアなんてしないで。私が悪かったの!だから…ゲテモノ弁当はやめてその高級スイーツたちを私の腹の中に納め……ゲフンゲフン、二人で仲良くDVDでも見ながら部屋でのんびりしよ、ね!?」
「心の声がダダ漏れだけど〜。でもやっぱりなまえは行楽じゃなくて食欲の秋が一番似合うねぇ。扱いやすくて俺的には楽チン楽チン…♪」
「え?何か言った?」
「んーん、貰ったデザートも早く食べないと痛んじゃうからねぇ」
「knightsの皆から貰うなんて珍しいね。何かのお土産だったの?」
「あ〜…俺の一昨年の誕生日プレゼントだったかな」
「………え?一昨年?」
「何となく食べないまま置きっぱなしだったんだよねぇ。でも二年しか経ってないから問題ないない〜」
「大アリだわ!!箱開けた瞬間死ぬでしょーが!」
「大丈夫大丈夫、何でも食べてみるチャレンジ精神、それこそが食欲の秋〜♪」
「私がやりたかったのは行楽の秋!」
「行楽じゃなくて快楽ならいつでもしてあげる〜♪」
「どいつもこいつも下ネタか!!」
「俺のキノコを…」
「言わせねぇよ!!!!!」





End.

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