* 学パロ





「リオン、もうやめてくれ。」


とうとう三人目のリオンに文句を言った。
この世界はおかしい。どういうわけだがリオンが死ぬのだ…しかも俺を庇って。それは俺にとって耐え難い苦痛でしかなく、何度も俺の心臓を抉ってくる。
そしてそれがリセットなんだろう。リオンが息を引き取ると同時にまるでビデオが巻き戻される様に俺達の時間が戻される。戻された世界では勿論リオンは生きていて当たり前のように俺の隣にいる。

俺は二度もリオンの死を見てきた。
一回目はトラックに激突して死んだ。横断歩道を渡っていたらいきなりトラックが突っ込んできた。突然の出来事に目を真ん丸くしていた俺はいきなり背中を押されそのまま歩道に倒れこむ。気が付いたときには宙に舞うリオンが視界に入って、俺はそれを唯見ていることしか出来なかった。トラックに引きずられたリオンは、俺が駆け付けた時にはもう手遅れだった。
二回目は鉄柱に突き刺された。歩いていた俺の上から突如鉄柱が落ちてきた。そんな俺の体を押したのはまたリオンだった。落下してきた鉄柱がリオンの心臓を貫く。目の前であいつの血が飛び散ってきて、俺が名前を叫んだらあいつはにやりと口端を吊り上らせてきたんだ。


「なんのことだ?」


リオンはこの出来事を一切知らない。自分が死んだときの記憶がないのだ。
今、肩を並べて歩道を歩いている俺ら二人はどこにでもいる平凡な学生。周りにある風景もどこにでもある街並み。ただ一つ違うのは、隣にいる少年は二度も死んでいるということ。


「俺はお前に庇われてまで生きたくないんだ…。」


震える声で伝えた。きっとリオンは意味が分からないと言ってその話を流すだろう。だってリオンには記憶がないんだから。
俺だって努力した。リオンが死なない様にと気遣った。でも運命は残酷なもので、何度も彼を殺してくれる。俺じゃなくて彼を殺してくる。
なんでリオンは、俺を庇うんだろう…。


「お前は何も分かってないな。」


だが予想外なことにリオンは困惑した表情で俺のことを見ているだけだった。


「リオン…?」

「僕だって、お前にそんな思いはさせたくないんだ。」

「…え?」


俺が驚いているとリオンが隙を見つけたと言わんばかりに体を強く押して俺を前に押し出した。何がどうなっているのか分からないままニヤリと嫌な笑みを浮かべたリオンが俺の視界を支配する。
その瞬間、トラックがリオンに向かって激突した。





繰り返される時間の中で…




―――――――――
繰り返しているのはスタンだけじゃなくて、リオンも同じってことです。
そしてまた繰り返されます。








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