神の眼をグレバムから取り戻すべく旅をしているスタン達一行。だがその途中、フィリアが体調不良を訴え倒れてしまった。心配したルーティが宿に泊まることを提案。…けして疲れたから丁度いいとか自分が休みたかったとかそんな理由ではありません。多分。
その案にリオン以外の三人は賛成し流れはすっかり宿に泊まる方向に向いていた。最後まで反対していたリオンだったがスタンに言い包められ渋々と言った形で同意をした。

だがその宿屋で、リオンは隠し続けた自身の秘密を暴くことになってしまう。


(こ、これは……!!)


食事をとるために向かった先に存在したのは小さな宿屋の割に豪勢な料理の数々。並べられているのは庶民が平気で食べられるようなものではない。あまりの素敵な料理にルーティ、マリーは黄色い声をあげながら盛り上がり会話を弾ませる。しかしリオンが驚いたのはそんなものではなかった。
彼曰く、そんな料理くらい食べ慣れてるから眼中にはない。ということ。彼が目を見開くほど驚いたのはその隣にある美味しそうなプリンだった。生クリームが上にのっていて緩やかな動きで揺れるそれはもうリオン的には堪らないものである。


「おぉ、プリンだぁ!俺、プリンって結構好きなんだよなぁ!」


リオンの肩に手を置き、同じくプリンで喜んでいるのは同室のスタンであった。正直肩に手を置かれるのは不快でならなかったが今は目の前にプリンがあるので渋々許してあげる。…機嫌が良ければ優しくなるお坊ちゃん。

美味しい美味しいプリンを食べるためにリオンはさっさと席に着く。それに続いて騒いでいた女性陣、スタンも席に着く。
会話を交わしながら食事が続く中、さっさと食べ終わったスタンがお楽しみとばかりにデザートのプリンに手を付ける。


「ん〜〜美味しい!このプリン美味しすぎるよ!!俺、今なら世界一のプリン好きになれる気がする!!」


冗談で言ったその言葉に周囲は大げさだと笑い声を上げる。…が、唯一人だけ違った。


「世界一のプリン好き…?」

「ん?どうした?リオン?」


プリンを口に含ませながらスタンが声をかける。


「貴様!!プリンを馬鹿にしているのか!!!」


突然声を荒げるリオンに、全員会話を止めて一斉に視線を向ける。


「プリンというのはな、本当はカスタードプディングという名前をしていて、それをここではプリンと略しているんだ!!洋菓子の一つで、プリン型の底にカラメルソースを入れてから牛乳と砂糖を混ぜた卵液を流し込み、加熱してカスタードを凝固させたものだ!カラメルソースが上になるように逆さまにして型から抜き、皿に盛って食卓に供される場合が多いが、器に入れたまま食べることを前提とした市販品も多い!!」

「…え、あ、そ、そうなの?」


スタンが若干引き気味である。
因みに前にいるルーティとマリーは若干どころかドン引きである。


「そんな知識もない奴が世界一のプリン好きなどと語るな!!言っておくが僕にはプリン好きという称号もあるんだ!!!僕こそがそれに相応しい!!!」


別に世界一のプリン好きくらいお前にやるよ…と言いたいところだがそこでそんなことを言ってもリオンの怒りを仰ぐだけである。ここは大人しくリオンを持ち上げる方が得策だろう。
…とリオンの性格を理解した人間ならばそう考えるだろうがスタンは違った。奴はそんなことに頭が回らなかった。


「ちょっと待てよリオン!てことはお前は俺よりもプリンが好きなのか!!恋人である俺よりも!!!!」


何故ならこいつもこいつでリオン大好き馬鹿であるからだ。
リオンを溺愛しすぎて一体何人のモノが被害にあったか…。


「あぁそうだ!!僕は世界一プリンが好きなんだ!!!」

「酷いよリオン!!じゃあ一生プリンでもなんでも食べてればいいだろ!!」

「それが出来るなら喜んでそうするさ!!!」


食事中でありながら大声で喧嘩をするバカップルを見ながらルーティは思った。


(せめて迷惑のかからないところでやってほしいわよね…)





プリン好きも時には困りもの




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初スタリオ小説がこれ……(笑)
すみません、もうキャラ崩壊もいいところですよね;;
因みにフィリアは部屋で寝ています。
プリンに関してはウィキペディアをそのままコピペしちゃいました。
本当にありがとございます。








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