「明日部活、休みなんだよね」

極上の誘い文句にまんまと引っかかって
越前を連れて帰ってきたはいいものの
安心しきって無防備にしてるこいつに

俺はいつまで耐えられるんだろうか。















無理だな。









Flower











「バスローブ用意してなかったのか?」

「やだよ、あれ脱げるんだもん」


風呂から戻った越前は短パンTシャツという
いかにも部屋着、と行った格好で戻ってきた。
首にタオルを引っ掛けて用意しておいたポンタを飲み始める
乾ききってない髪からは雫が落ちていた







「ったく、髪くらいちゃんと乾かせ」

「めんどくさい」








しょうがねえな、ほら
座ってたソファの前を叩くとやった、と
聞こえてきそうな笑顔で俺に背を向けて座った


越前からは自分と同じ香りが漂ってくる
風呂を貸してるのだから当たり前のことだが
なんとなく幸福感が込み上がってきた


しばらくドライしてやってると
徐々に眠くなってきたのかあくびとともに
こくりこくりと船を漕ぎ始めた










「眠いのか?」

「んー。跡部さんにしてもらってると、眠いんだ、よね、」

「なんでだよ」

「さあ?安心するから?」







ちら、と見上げてそんなこと言う越前に頭を抱えたくなった。
無意識なのかわざとなのか、
時々かき乱すようなことを言ってくる。
風呂上がりの上気した肌と眠気もプラスされて
幾分エロく仕上がってる越前に
我慢できるはずもなくそのままその口を塞いでやる

小さく漏れてくる声すら
今の俺には煽る材料でしかなかった。






「誘ってる、と捉えていいんだな?」

「っ、そんなつもりじゃなかったん」





今更そんなことを言っても遅い
もう一度その口を塞いでベットまで運んで覆いかぶさる。
組み敷かれてる越前は恥ずかしさからか
余計に赤く染まって目線を逸らそうとする。




「…今日、スイッチはいるの、はやすぎ。」

「…リョーマ」

「、!」


小さな講義は聞こえないふりをして。
耳元でそう、名前を呼ぶだけで
びくりと跳ねて、おずおずと首に手を回してくる
こうして事に及ぶのは初めてではないにしろ
あの強気なチビがここまで可愛くなると誰が思うのだろう
ふと脳裏にメガネの頭の固い友人の顔が浮かんで
思わず笑みがこぼれる

悪いな、手塚
お前の越前はもう俺のものだ







「ねぇ、」

「ん?」

「明日、試合してよね」


これからすることをわかってぎゅう、と抱きついてくる越前。
誰が俺の理性を壊してるのかわかってねえのか、
それだ、と、教えてやりたかったが
それより今は目の前の恋人との距離を詰めたくて

可愛い恋人の頼みをきくことにして
明日動ける程度には手加減しねえとな、と
自分に言い聞かせた。




もう何度目かわからないキスとともに。













「仰せのままに、王子様。」


















end
(ねえ、体痛いんだけど)
(……)
(試合、したかったのに、)
(…悪かった、…でもな)
(可愛すぎるお前も悪い)
(!!)




つ、づくかも




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