「ううー……」
「…」
「あっ!間に合わなかった!もー…」
「…」
「えっ?え、あ、……あー…またやられた…」
「…名前、」
「ん?」
「ゲームくらい静かにやったら?」
「あ、ごめん、うるさかった?でもこれが中々難しくてさー」
「…」
そう言ってまたパソコンの画面と睨めっこする名前。
最近始めたパズルゲーム…○ーキーパーとかっていうのにハマっているらしい。
「あ!やっと来たー!これで…どうだ!よしっ!勝ったー!」
こんな単純なゲームで一喜一憂する名前を見るのも悪くはないが、やっぱり名前の興味がそっちばかりに向いているのは少し面白くない。
「名前、少しオレにもやらせて」
「え!アカギがやるの?良いけど…やり方分かる?」
「名前の見てたら何となく分かった。…っと、」
「……」
「……」
「え、ちょ、…」
「30秒ってあっという間だな」
「うんまぁ…って、攻撃…ろ、600!?有り得ない…!」
勿論相手は一撃で負け。
「やっぱりアカギは何やらせても凄いなぁー…よしっ、もう一回!」
「……」
「なんでそう上手い事いくのかなぁ…って、あ、アカギ!?」
「ん?気にしないで続けて」
名前が声を上げたのも無理はない。
アカギがいきなり名前の後ろから腰に手を回し、肩に顔を埋めてきたからだ。
「そんな事言われても集中出来なっ…もうっ」
さすがにゲームどころじゃなくなりアカギと向き合う形になった名前。
「もう…どうしたの…」
「名前はオレといるよりゲームやってる時の方が楽しいの?」
「えっ…」
(それって…)
「……」
「名前…?」
「ふふ…何でもなーい」
アカギの行動の意図が分かった名前は、はにかみながらアカギの胸に擦り寄った。
「これだけオレをほったらかしにしてた分、今からどうなるか分かってるよね?」
「ん…覚悟は出来てます…」
たかがゲーム。
されどゲーム。
やり過ぎは程々に。
ある日の昼下がり